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青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

円山スクランブルエッグス『円山町再開発』

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かもめんたるさらば青春の光ラブレターズの3組からなる合同コントユニットの旗揚げ公演。円山スクランブルエッグス。どうしたって、同じく渋谷の地名を冠した「宇田川フリーコースターズ」を想起してしまう。バナナマンおぎやはぎのコントユニットだ。”3”という数字にこだわるのであれば、そこにラーメンズを加えた「君の席」でもいいだろう。

epoch conte square 宇田川フリーコースターズ [DVD]

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バナナマン・ラーメンズ・おぎやはぎ ライヴ!!君の席-SPECIAL SIX SEATS- [DVD]

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宇田川フリーコースターズと君の席。どちらも渋谷の地から誕生した(今から思えば)夢のコントユニット。かつて、そこにはコントへの熱意と熱狂が湧き上がっていて、当然、時と共に熱は散らばっていってしまう。その熱を掻き集めると、それは”記憶”となり、土地に宿る。そんな渋谷の”記憶”が、10年以上の時を経て、円山スクランブルエッグスに受け継がれた。どうにも大袈裟な書き出しになってしまったのは、『円山町再開発』の主題に倣ったからなのだ。「形は変われど、”記憶”は受け継がれる」と彼らは言う。円山町(渋谷のラブホテル街の一角)再開発プロジェクトチームに扮した面々のOP、EDコントが、公演内の複数の生々しい熱の放出のドキュメントを、かつて発生した“土地の記憶”という括りで纏め上げてしまう。暗転なしでシームレスに各コントが接続していく構成がお見事。ちなみに開園前の客入れ音楽は、ピチカートファイブカジヒデキスチャダラパーかせきさいだぁ、などなどド直球の渋谷系。かつて、この土地の文化を彩った音楽だ。


全体の構成である種の文学性を漂わせながらも、細部に目を向けると、下ネタまみれのどこまでもバカバカしいコントの数々。中でも秀逸だったのはラブホテルでのデリヘル嬢とのやり取りを描いた1本。複雑に絡まった自意識がそれと比例するにようにこんがらがった性的趣向がグルーヴしていく。これを観てしまうと、廣木隆一『さよなら歌舞伎町』の風俗描写がいかにペラペラだったかを痛感する。これは岩崎う大かもめんたる)のペンに違いない。風俗嬢を演じた溜口佑太郎も素晴らしかった。今公演、ほぼ出ずっぱり。演じ手としてのオールラウンダーぶりを見せつけまくっておりました。円山町のホテル街に、何故かポツンとある神社(実在します)に童貞たちが集う様を描いた「ビヨンド」も最高。超越した者としての塚本直殻(ラブレターズ)のルックスの説得力、そのインパクトを食いにかかる岩崎のイキ芸。それに巻き込まれる森田哲矢さらば青春の光)がまたいい。かもめんたるラブレターズのコントではあまり明確なツッコミがいないので新鮮だ。しかし、森田のツッコミの反復ってなんであんなに面白いんでしょう。声が原口あきまさの真似する明石家さんまに似ているからでしょうか。ゴッドボイスなのである。東口宜隆さらば青春の光)の軽さも、ややナード寄りなメンバーの中でいいスパイスになっていたし、槇尾ユースケ(かもめんたる)も見せ場は強烈な歌くらいでしたが、高い演技力でどのコントにも馴染み、公演全体を支えていた。メンバーの個性がぶつかり合わず溶け合っていて、ユニットコントライブの第1回としては出色の出来だったのではないでしょうか。今後の活動にも期待です。いつか、この円山スクランブルエッグスのライブの記憶が伝説として語り継がれる事を信じて止みません。