青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

夏目知幸『MIDI DAYS』

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シャムキャッツのフロントマン夏目知幸のその魅力の1つに、青年だけが持ちうるセクシーさ、クレバーさと共に少年期特有の万能感を持ち合わせているという事が挙げられるのではないか。どうも彼を観ていると、いつも小学生の頃、クラスの人気者だったあいつやアイツを思い出すのだ。カセットやら7インチやらCD-Rやら色々出ていて、もはや何枚目なのか定かではない夏目知幸のソロアルバム『MIDI DAYS』はそんな夏目の小学生男子感がいかんなく発揮された1枚。なんと内容はボーカルレスの打ち込みインスト作品。それも、多くのリスナーがノスタルジーを喚起され、にんまりとせずにはいられない8bitなファミコンサウンドなのだ。バンドのボーカリストのインスト作品ときて、ノイズとかフォークトロニカなどではないのがまずいいですね。『MIDI DAYS』はファニーでキュート、横スクロールで進んじゃったりしながら、お散歩のお供にしたいビート感覚。7つのトラックは「DAY 1」「DAY 2」・・・・「DAY 6」「HOLIDAY」と名付けられており、1週間つまり”毎日”を鳴らしている。なんてことはない僕らの日常、その中でも「アドベンチャーしていこうぜ!」と、小学生のあいつがニヤリと笑いかけてくる。そんな趣がございます。RPGゲームミュージックのようではあるのだけど、この音楽にはドラゴンナイトやファイヤーバードなんかは登場せず、日常から遠離する事はない。『ドラゴンクエスト』と言うよりは、冒険中でも家に帰ればママが”ぼく”の大好物を振る舞ってくれて、セーブする時はパパに電話する、まさに『MOTHER』的なサウンドだ。

MOTHER

MOTHER


おまけでHOPKENでの弾き語りライブ音源も。7インチでもリリースされた「いいとしなのにね」「おれのすべて」や名曲「冷奴」、ライブでお馴染みのさだまさし「雨宿り」のカバーなど10曲収録。現行のシャムキャッツとは一味違うフォーキーなメロウサイドを堪能できます。好きな音楽に触発されてバンドを始める女の子達の「いいとしなのに」とか、豆腐屋に絹を買いに行く「冷奴」とか、インストの『MIDI DAYS』で提示されていた日常の中の”小さなアドベンチャー”が言葉で色付けられていくような構成もグッドです。全17曲でお値段1000円、良盤です(ジャケットも最高)。