青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

cero×SIMI LAB×PUNPEE『Erection』in代官山UNIT


代官山UNITの10周年記念アニバーサリーイベントcero×SIMI LAB×PUNPEE『Erection』 を目撃してきた。ceroとSIMI LABはかけ離れた音楽性のようでいて、「ビートの揺れ」に対して自覚的な点が両者を結び付けているのかしら。初めてライブを観たSIMI LABのヤバさ。OMSBの揺れたビートが得能直也のPAで低音がブゥンブゥンと更に揺れる。そこに乗っかる迫力の身体性に裏打ちされたフロウ。音源でも気になっていたUSOMAのラップがかっけー。MARIAのファッションが「板尾の嫁」を完全に継承していて、むちゃクールだった。生まれ変わったらB-BOYになりたい。PUNPEEのDJは遅刻したため、少ししか聞けなかった。「サマーシンフォニー」と「サマージャム'95」のマッシュアップは聞けました。


ceroの音楽の変化と進化にリスナーとして追いていかれないよう頑張りたい。J Dilla以降の揺れたビートの人力化、つまり現代ジャズにおけるRobert Glasperのリズムの試みを日本語ポップス化する事。そういえば、2011年に高城さんはソロライブでs.l.a.c.k.の「NEXT」

のカバーを披露していたのだけども、その時はNRQの中尾勘二さんがジャスト目に叩いていて、まだビートは揺れていなかったように思うが、変化の兆しは既に数年前から見えていたのですね。新曲の「elephant ghost」「Summer Soul」を聞いた。リズムの階層の複雑さに耳がついていくのが難しいのだけど、とても刺激的な体験だった。その一方で、ポップスとしての強度というか、親密さのようなものは落として欲しくないな、と思う私もいるわけで。そんな中、披露された橋本さん作曲の「バカ姉弟(仮)」に一発で心をグッと掴まれてしまうナンバー。。橋本さんがついにceroに曲を初おろしという事態にも感動だ。『Yellow Magus』リリース時にアップされた公式サイトでの磯部涼さんによるインタビュー(cero 1stシングル『Yellow Magus』 - 特設サイト)から抜粋させて頂きます。

――例えば、橋本くんはジオラマシーンではソングライターをやっているわけだけど、ceroではそこまで楽曲をつくるつもりはない?
橋本 そうですねぇ……つくれる気がしない……。
一同 (笑)
――それは、ceroっていう枠には自分の楽曲がハマらないような気がすると?
橋本 それもありますし、バンドとして曲が足りないならつくりますけど、さっきも、「アルバムぐらいのヴォリュームはすぐにつくれちゃいそう」と言っていたので、足りてるかなと(笑)。
高城 そのアルバムにはしもっちゃんの曲も入れてよ!
荒内 でも、曲をつくっている段階で、僕と高城くんとでコンセンサスが取れたとしても、はしもっちゃんに投げた時に「違う」ってなったら、その曲はceroとしては出せないなとは考えているよ。
橋本 じゃあ、ある程度距離を置かせてもらって、フィルターとして機能してるのかな。
高城 だって、ミックスもはしもっちゃんがやっているわけで、やっぱり、ceroの音源の最終的なアウトプットははしもっちゃんなんだよね。確かに、ブラック・ミュージックに関してはド・ストライクなゾーンではないだろうけど、その距離感こそが重要だったりもするし。
橋本 杞憂なのかもしれないですけど、こういうふうに、『My Lost City』から大胆に変わっていくことを、今までのファンはどう感じるんだろうとも思っていて。もちろん、それを乗り越えていく柔軟なひとがいる一方で、「やっぱり、前の方が好きだなぁ」と思うひともいるだろうし、僕もそういう感覚は少しあるので、その中間の立場に居たいなと。ブラック・ミュージックの気持ち良さもようやく分かってきたところなので。僕はいつもみんなよりひとつ遅れて好きになるんですよ。
荒内 でもさぁ、ceroの何がceroらしいかと言ったらはしもっちゃんかなって……。
一同 (笑)

ceroの良心、橋本翼!ジオラマシーンでも披露されていた、小沢健二ソウルミュージックで解釈したセンスを引き継いだような甘やかなメロディーセンス。それに呼び込まれたかのような、高城さんが美しい青春叙景詩(高城さんに根付く安達哲イズム!)を当て込んでいて、素晴らしい。アンセム化する予感しかない。来るアルバムはどのような形になっているのだろうか。MCでは「来年あたりには何とか」という言い方だったので、まだ時間はかかりそうだが、心して待ちたい。


アンコールでは「マウンテンマウンテン」と「Yellow Magus」の生演奏トラックの上でPUNPEEとSIMI LABの面々がフリースタイルをかます。2011年頃のブログやツイートを読み返してみると、「ceroにはPSGとかと対バンしてもらったりして、シーンのクロスオーバーを図って欲しい」的な事を書いていて、「お前は誰なんだ」という感じにもなるのですが、いやはや、気付けばceroはすっかりその役割を果たしているではありませんか。私のようなナード一辺倒な人間がSIMI LABの黒いビートで身体を揺らし、大き目の服を身に纏ったB-BOYがceroの奏でるポップスで踊っていた。すごいぜ、ceroカクバリズム