青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

スカート『サイダーの庭』

スカート『サイダーの庭』を聞いた。

サイダーの庭

サイダーの庭

1曲目「さかさまとガラクタ」の歌い出しが

さぁ かさまの街

と発音されるものだから、それはまるでスカートこと澤部君に「さぁ」と誘われているようで、とりあえず、澤部君のその大きな身体にしがみついてみると、軽快な音楽を鳴らしながら飛び立ち、高度をグングン上げていく。「トトロみたいだな」なんて考えている内に、街はどんどん小さくなり、まるでジオラマのように。いや、アルバムタイトルに擬えるならば「庭」か。その小さくなった街を、少し離れた場所からスケッチするような感覚、が、『サイダーの庭』にはあります。


今までのスカート音源の中で最もアーバンで軽やかであり、歌もとても丁寧に奏でられている。「シティポップ」と呼んでしまいたい衝動に駆られるが、1曲目の「さかさま」からして変拍子と聞き馴染みのない進行だし、その巧みなソングライティングセンスに比べると、演奏のアンサンブルを始め、全体的な印象としては、流麗でも端正でもない所が好きだな。やっぱりスカートの音楽は変てこだな、とニヤリとしてしまう。しかし、どこまでもポップだ。変てこなのにポップ。聞き馴染みがないのに、耳当たりがいい。スカートの音楽のこの態度、かっこいいですよね。何より血が通っている感じがする。凄く前だけども、スカートの音楽に対して、澤部君のブログやmixi日記のアーカイブになぞらえて「思春期の逆襲」みたいな的を外れた感想を書いた事があって、反省していて、澤部君の抱えている「寂しさ」ってそういう限定された季節のものではなく、何かこうもっと根源的で普遍的なものだな、と思っている。スカートの音楽にはその「寂しさ」が”在る”事を肯定する美しさがあるのだな。8曲で24分というサイズ感も含めて、これまでのスカートのアルバムの中で1番好きな気がしています。