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『三四郎・浜口浜村・ドリーマーズの3組のライブ(仮)7』in下北沢空間リバティ


三四郎浜口浜村・ドリーマーズの3組のライブ(仮)7』を下北沢空間リバティで観る。何度でも書きますが、この『3組のライブ(仮)』はシャッフルコンビでフリートーク3本、ネタが各コンビ2本に、トーク企画が2本。たっぷり2時間越えで1500円。超絶オススメ定期ライブだ。今回も最高でした。フリートークでの浜村さんの『THE MANZAI』1回戦話もよかったし、大阪対策会議はちょっとダレたが、三四郎改造計画は底なしに楽しい。しかし、この日は個人的には何と言っても浜口浜村とドリーマーズの漫才4本だった。


浜口浜村の1本目は「昨夜、浜口さんが嘘をつき、伸びてしまった鼻が折れ、取れた鼻の中に入っていた紙に書いてある昔話を読み始める」というイカれた導入が、あくまで導入で、その後もイメージがひたすら飛躍していくイリュージョン漫才。2本目のネタの、ほぼお互いの名前を歌い合うだけ、という削ぎ落とされた漫才には、妙な美しさだけが残っていた。なんだ、あれは。浜口浜村はずーっと「観た事のない漫才」というのを彫り続けていて、(一般的にウケるかウケないかは置いておいて)「お笑い史」に名が刻まれなくては嘘である。


ドリーマーズの漫才がどんどん好きになっていく。ドリーマーズが観る度に面白くなっているのか、それとも回数を重ねるごとに肌が合っていくのか、どちらかはわからないが、今、私の中では抜群に面白い漫才師だ。「ブラジルに旅行に行きたいんだけど、アメリカ回りで行くか、ヨーロッパ回りで行くか」というふりで、「じゃあ俺、地球やるから、お前は飛行機をやってくれ。お客さんは太陽です」と漫才コントへ突入する、ニューウェイブ感。地球の自転と公転を織り込んだボケに対して、「早く回っちゃったら1日が早く終わっちゃって寂しいだろ!」というピントのズレた、しかし、確かな”愛おしさ”が詰まったツッコミがこのコンビの魅力だ。2本目の「中国のトイレ」はもう鉄板ネタと言っていいのではないかしら。あんなに直線的で単調な進行のネタなのに、力業で笑わされてしまう感じ。最後の方は坂本さんが何言っているか聞き取れなかったのに笑えた。


対して、メディアへの露出が増えている三四郎の漫才がどんどん粗くなっているような気がする。元々粗い漫才をするコンビですが、何だろう、今の2人の漫才には言葉にできない何かが損なわれている。気がする。初めて聞いた「軍手」は発想に驚かされない、と言うかよくあるイチャモン漫才みたいだったし、年末に散々やっていた「いつかのメリークリスマス」を今更このライブに持ってくのもよくわからない。もっとギラギラした三四郎を漫才で観たい。