青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

THE SLEEPING AIDES & RAZORBLADES『FORGET ME』

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THE SLEEPING AIDES & RAZORBLADESという北海道・札幌が誇る男女混成の4人組ヤングバンドに夢中。出会いは、同じく北海道は苫小牧のNOT WONK『FUCK IT DOG, LIFE IS TOO SUGARLESS.』と一緒に注文した4曲入りカセットテープ『Dub Narcotic Fanclub』でした。リードトラックの「L.A.M.F」をエンドレスリピート。耳から離れないとびきりキャッチーなサビメロに「うわ、最高だな」とボーッとしている内に、7インチがリリース。
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この『FORGET ME』がこれまたすっげー良いのです。このままぶっ倒れるんじゃないかといった感じにどこまでもヘロヘロなボーカル、快楽性に富んだリバーブギター音。そして、これでもかとロマンティックなメロディーの詰まった3曲入り7分。どこか歪なものからしか美しさを感じられない歌舞伎者はマストチェックな音源だ。あっという間に駆け抜けるこのシングルを「ワンモアタイム!」と繰り返し再生ボタンに指をかけてしまいます。そのままDaft Punkから引用させてもらえば、

Music's got me feeling so free
We're gonna celebrate

という感じで、その数分間だけは、祝福を受けるように、しがらみから解放され、クソガキでいられるような気がするのです。2曲目の「TEENAGE DREAM」に

You and I will be young forever tonight
“俺と君は今夜永遠の若さのままさ”

という実に偏差値の低そうな英語での、あまりに感動的なラインがありまして、涙腺を刺激してくる。時計の針の進み方には従わない。常に現在進行形で輝く彼らの音楽は、全うにポップミュージックだ。

MVも作成されている3曲目「NOT A DAY GOSE BY」にそんな彼らを体現した素晴らしいラインがある。

“振り返らず、過去はまだ君の周りに置き去りのままあるから
いつだって過ぎ去りはしないんだ”

最高。この精神は彼の音楽性にも貫かれる。彼らの世代にとっては過去の産物と呼ばれてもおかしくはないメロディックパンク、パワーポップ、シューゲイズ、アノラックといったジャンルの旧カタログ、それらを現行の国外インディーミュージックと混ぜ合わせて、新しいものを作り出す。そのハイブリットな現代的感性に関しては、Mega City Four 、Exploding Hearts、Smith Westerns、Literature、Cloudnothingsといった魅力的な単語を並び倒おしている各レコ屋のレコメンド文に詳しい。もしくは、毎度おなじみ『Anorak Citylights』におけるソングライター白浜くんのインタビューを読む事をオススメ致します。

レコードフリークのミュージックラヴァーの出力がこういった青臭く歪つなポップソングである事に何だかうれしくなってしまう。『Dub Narcotic Fanclub』も素晴らしかったですが、今回の『Forget Me』に収録された3曲は飛び抜けてキャッチーだ。彼らの”歌心”はJ-POPをしっかり通過しているからだと思うのだな。とにもかくにも、THE SLEEPING AIDES & RAZORBLADESのポップソングとしての充実は、今1番美味しいメロディーがどのシーンから鳴っているかの何より証左となるでしょう。カセットも7インチもジャケットがこれまた最高なので、血眼になってでも、探してゲットしよう。