青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

misono『家-ウチ-』

アルバムタイトルを見た時点で、「これはもしかたら、ウチ(=misono)からハウスミュージックへの回答なのでは?」という期待を寄せていたのだけど、収録楽曲のタイトルを確認し、どうやらそれは大いなる勘違いであった事に気づく。

1.ウチ!ウチ!ROCK~取り扱い説明書~
2.ホ・ン・ト・ウ・ソ
3.四六“時「己」中” キミ時間オレ時計~メトロノームの同期現象~
4.「...。」の続き~永遠なんてない... いつか終わりがあるけれど~
5.セカンドseasonガールFRIEND ~女友達?妹的存在?ただの幼なじみ?恋愛対象?友達以上?恋人未満?2番目でもない?好きでも嫌いでもない?都合のいい女どまり?~
6.61秒目のフラLetter 最後の初恋~コペルニクス的転回~
7.金魚救い~君はどのプリンセス?~
8.七夕☆ジタButterFly♪
9.恋つりGirl 愛ガァル~フィッシングBoy~
10.25時間~もしも1日が24時間ではなくあと1時間あったら...あなたは誰に何をしますか?~
11.願ティ部×1人∞脚
12.招待状♪BIGり☆ヤンチャはちゃめちゃくちゃ★オモちゃ~箱
13.ふたり占め わたし占め 「半分ずっこ」
14.ス・キ・ラ・イ

言語破壊ミュージック。いや、ほんと凄いな。過去のディスコグラフィーとクレジットを確認してみたけども、ウチ(=misono)は多くの楽曲の作詞を手掛けていて、高いクオリティのタイトルを連発しているのだけど、今作の充実はウチ(=misono)至上最高傑作の名にふさわしい。これだけのタイトルが並んでも作為的なものを感じないのが凄い。七尾旅人『雨に撃たえば...!disc 2』

雨に撃たえば...!disc 2

雨に撃たえば...!disc 2

の衝撃再びというか、舞城王太郎も真っ青というか。こう並んでみると、リードトラックの「ウチ!ウチ!ROCK~取り扱い説明書~」に物足りなさすら覚えるから驚異的だ。"金魚救い"だとか"願ティ部"だとか"半分ずっこ"といった新しい日本語の登場に興奮するのもいいだろう。個人的に好きなのは「招待状♪BIGり☆ヤンチャはちゃめちゃくちゃ★オモちゃ~箱」もしくは「キミ時間オレ時計~メトロノームの同期現象~」あたり。口に出して吟じたい、そんな何とも言えない良さがある。


”キミ時間オレ時計”や”61秒”や”25時間”など、既存のクロノスを突破するような表現が目立つのも今作の特徴だろう。ウチ(=misono)が30歳を迎えた事も影響しているのかもしれない。無情な時の流れに対する怒りや悲しみのトーンは(おそらく)名バラード「「...。」の続き~永遠なんてない... いつか終わりがあるけれど~」に託されているのだろう。「ウチ!ウチ!ROCK~取り扱い説明書~」で元気にご挨拶をかました後、アルバムは「ホ・ン・ト・ウ・ソ」に始まり、「ス・キ・ラ・イ」に終わる。何やら2極で揺れている。そんなトーンがアルバム全体に見受けられるのだ。これはバラエティ番組などで見せる明るくおバカでおどけたウチ(=misono)と飾る事のないプライベートでのウチ(=misono)の間で揺れるウチ(=misono)そのものなのだ。この『家-ウチ-』というアルバムの、その揺さぶりの中で、我々は本当のウチ(=misono)を再発見するのだろう。ジョン・レノンの『ジョンの魂』

ジョンの魂

ジョンの魂

以来のポップスターによるパーソナルな質感のアルバムの登場と言えるかもしれない。ジャケットも凄い。消費社会への警鐘を唱えた現代アートのようでもあるし、前世で深い業を背負ってしまったきゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅのようでもある。ちなみにこのアルバムが1万枚売れないと、今後ウチ(=misono)は音源をリリースできなくなるらしい。初登場オリコン順位は60位。やべーじゃないか。聞かなくて、聞かなくては、と思えども、1日は25時間ないので、無理!