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GOMES THE HITMAN『15年目の“”週末”―United State of GOMES THE HITMAN』

GOMES THE HITMANの7年ぶりのライブとなる『15年目の“”週末”―United State of GOMES THE HITMAN』を吉祥寺 Star Pine's Caféで目撃。彼らのメジャーデビュー15周年を祝った宴である。
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初めに断っておくと、私がGOMES THE HITMANの音楽に触れたのは2014年に入ってからなのです。同世代であるオザケン原理主義者”宅イチロー”先生のブログ『Anorak citylights』で「山田稔明(gomes the hitman)と私」という記事を目にして気になっていた矢先、訪れたディスクユニオンで大量の在庫を発見。運命的としか言えないタイミングだったので、安価だった事も手伝い一気に買い占める。そこから2014年に1番聞いているアーティストと言っても過言ではないほどにドップリとはまり、GOMES THE HITMANの中心人物である山田稔明のソロライブに足を運んでみると、7年ぶりの復活がアナウンスされたのであります。実に目まぐるしい展開。故に、私には15年という歳月も、7年の空白の重みも語る事はできない。GOMES THE HITMANという私にとって現在進行形のバンドのライブを観た、というだけなのである。とは言うものの、驚いた。なんて瑞々しいライブをするのだろう。「40代に突入したメンバーが”7年ぶり”に集結」という前看板には似つかわしないフレッシュさなのだ。とてつもなくいい曲を演奏する新人バンドが登場した、というような、まるでこれから始まっていく希望の匂いのようなものがしたのです。漂う、圧倒的な青春感。時計の針を戻すような、時の不可逆性の抗うという事。それこそが、ロックンロール、もしくはポップミュージックに許された特権であります。

7年という空白を体験していなくても名曲「雨の夜と光の月」の鍵盤のイントロから始まるライブの高揚感を想像するのは容易いだろう。続いて、つんのめるようなギターポップと日本語ポップスの歌謡性の折衷点として、スピッツの初期の何枚かと比較しても何ら霞む事のないミニアルバム『neon, strobe and flashlight』

neon,strobe and flashlight

neon,strobe and flashlight

から「ストロボ」「アップダイク追記」を披露。情景の広がっていくような素晴らしい演奏だった。私、このミニアルバムもこよなく愛聴しておりまして、「夕暮れ田舎町」「新しい季節」「tsubomi」などポップチューンもリクエスト曲として連ねておきたい。そして、今年の夏の私のサウンドトラックであり、会場の多くの皆さまの青春のサウンドトラックであろう名盤『weekend』
weekend

weekend

から主要曲をほぼ全て演奏。これと言って何もない学生時代に山田稔明が、海へのドライブや仲間たちの花火、を夢想して書いたというこのアルバムは、泳ぐ事のできなかったブライアン・ウィルソンのビーチポップよろしく、あったかもしれない過去や未来に胸を痛める、正しきポップソング集だ。ライブの感想と関係なくなっていくけども、山田稔明の日常の所作を捉える作詞は保坂和志の直系と言えるが、このアルバムに収められた「お別れの手紙」~「train song」の連曲には村上春樹を感じた。その後、インディーズ時代のナンバーを挟み、「思うことはいつも」「午後の窓から」「手と手、影と影」というGOMES THE HITMANの中でもキャリアハイと言える、日本語ポップの名曲を披露。

「午後の窓から」をお聴きください。このイントロの音色でもう決まりでしょう。時計を戻して始まったライブは、ほぼリリース順に楽曲を披露する事で、その針を進め、最後に再びインディーズ時代に立ち戻り、初期の代表曲「僕はネオアコで人生を語る」で締めくくる、という凝った構成もにくい。「思うことはいつも」「午後の窓から」「手と手、影と影」の3曲のチョイスといい、山田稔明は恐ろしいほどまでに自身のキャリアを俯瞰できている人である。そして、改めて思うのは、何て素晴らしい曲を書くのだろう、という事。全く古びれる事のない現在進行形のメロディ。

アンコールで披露された「饒舌スタッカート」にいたっては、何故売れなかったのか、という疑問しか浮かばない、躁モードでリズムも躍動する珠玉のポップチューン。あのインディーズシーンの最重要人物MC.sirafu(片想い、ザ・なつやすみバンド)にも「大好き」と言わしめるほどなのです。現在、GOMES THE HITMANのカタログがほぼ廃盤、中古市場でも高い値段で取引されているという憂うべき事実。本来であれば、この国のギターポップシーンに”ゴメスの子どもたち”と呼ばれるバンドがひしめいていた可能性だってあるのだ。しかーし、2014年の10月中に3rdアルバム『mono』を除いて、シングルやepも含め、iTunesでの配信が開始されるそうです!できれば、フィジカルで欲しい私も、epに関しては入手を諦めつつあるので、配信でゲットする所存です。 今回1回きりの再始動ではなく、11月、12月にもそれぞれライブが決定しており、継続的に活動していく予定との事ですので、この配信開始を機に、新たにGOMES THE HITMANというポップミュージックの鉱脈を発見する動きが広まっていけばいいな、と思います。




以下、セットリストは山田稔明ブログ『monoblog』(http://toshiakiyamada.blog.jp/archives/52094653.html)より引用。カッコの部分が収録音源のタイトルですね。

1.雨の夜と月の光(rain song ep)
2.ストロボ(neon, strobe and flashlight)
3.アップダイク追記(neon, strobe and flashlight)

4.光と水の関係(weekend)
5.長期休暇の夜(weekend)
6.何もない人(weekend)
7.猫のいた暮らし(weekend)
8.お別れの手紙(weekend)
9.train song(weekend)
10.街をゆく(new atlas ep)

11.coffee(down the river to the sea)
12.緑の車(maybe someday ep)

13.思うことはいつも(cobblestone)
14.午後の窓から(cobblestone)
15.手と手、影と影(ripple)

16.情熱スタンダード(mono)
17.饒舌スタッカート(饒舌スタッカート)

EN
18.拍手手拍子(饒舌スタッカート)
19.僕はネオアコで人生を語る(GOMES THE HITMAN in arpeggio)