青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

嫁入りランドとプロポーズ「しあわせになろうよ」


嫁入りランドとPR0P0SEというユニット名を持った二組が融合して「しあわせになろうよ」という楽曲を作る、なんて洒落の効いた出来過ぎたヒストリーだろうか。嫁入りランドもPR0P0SEもこの曲の為に生まれたユニットなのでは、とすら思ってしまう。

嫁入りランドのフロウの楽しさがもたらす多幸感に思わず恍惚の表情を浮かべてしまう。女の子の”おしゃべり”に潜むリズムとメロウネスがそのまま発展して歌謡性すら獲得しているではありませんか。HALCALIのラップに恋をしていた学生時代を思い出したり、lyrical Schoolの事を想い浮かべたりもするけど、そのどれとも違う天然の凄味のようなものを感じる。

行き先は植物園
当たり一面のバラ
じぇじぇじぇ まさかの貸し切り状態
ロマンチックで笑っちゃう ごっめーん

苦手な料理もルクルーゼ
幸せ過ぎてまじ狂うぜー

異様なまでの親しみやすさに、ラップが本来持っているダジャレ的な楽しさがふんだんに詰め込まれたプリミティブな押韻も最高ですね。いや、でもやっぱり素晴らしい言語感覚とカルチャーへの造詣に裏打ちされたフックの数々を聞いていると、この3人組は天然などではなくクレバーな人達なのだろうと考えなおす。賢さを全面に出すよりアホっぽい方が楽しくてかわいい、というのを知っているのでしょう。とにかく、去年フリーで出した『BANDCHAMP e.p. 』も最高なのでマストチェック。



対するPR0P0SEの2人も女子に負けずに最高。Thamesbeatのビックバンドの管楽器が鳴り響くトラックは陰りが一片もなく陽性のパーティーをお膳立てしている。絶妙なチープさ加減もグッドだ。そして「どこ押しゃ 動くんだろうか 後ろのワイパー」だとか「2人の好きなドレッシングはどこ?」だとかオノマトペ大臣のリリックの圧倒的なリアリティには改めて「素晴らしい才能だ」と惚れ惚れしてしまうのです。痒い所に手が届く「それそれ!」という共感と同時に「よくそこに拾ったなー」という驚きが押し寄せてきます。PR0P0SEの7曲入りEPも嘘でしょなフリーダウンロードです。


とにもかくにも

しあわせになろうよ

この素晴らしい響きを、長渕剛的マチズモ*1から奪い返す最高のナンバーであります。日常の愛おしき所作が描写された究極のライフミュージック。ちょっぴり妄想入っている所も真っ当にポップミュージックだ。しかし、こういった楽曲において、男女双方の視点で歌われているというのは、こうも幸福感を覚えるものなのですね。一方通行じゃないぜ、という喜びでしょうか。それだけがこの世の中を熱くする!

*1:出会った頃の2人にもう一度戻ってみよう