青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

『THE MANZAI2013』感想


『THE MANZAI2013』観ました。昨年に劣らず、とても面白かった。『キングオブコント2013』におけるジグザグジギーのように、強い思い入れのあるコンビもいなかったので、寿司を食べながらの観賞は控えた。しかし、こう改めて『THE MANZAI』を観てみると、三四郎があの舞台に立って漫才するのが全く想像できないな。一体どんな空気になるのだろう。でも来年こそは、と信じております。


好みの問題だ。「お笑い」というジャンルでは音楽や映画以上にこの好みの問題が大きくのしかかる、と賞レースの度に痛感する。優勝のウーマンラッシュアワーの会場でのウケ方は凄かった。まるでロックスターのライブかのように歓声まで観客から掴み獲っていた。漫才で会場をあそこまで盛り上げる事ができるのか。凄い!の一言だ。彼らの漫才で笑う事ができないのをコンプレックスに感じるほどでした。決勝に千鳥とNON STLYEの2組がいるのは、さすがにこんなもの5年前の『M-1グランプリ』で済ませといてくれよ、と吐き捨てたくなるような並びだったなー。千鳥好きなのですけどね。まさか「癖が凄い」を今更決勝でやるとは。ならば「百択クイズ」も観たかったな。千鳥とNON STLYEが今大会に引き際を見出してくれないと、来年以降本当に辛い。13年目の彼らだってそうだったろうが、後続の芸人もやっぱりギュウギュウに詰まっているのだ。


ワイルドカードで勝ち上がってきた流れ星は、2008年『M-1グランプリ』でのオードリー以来の衝撃だったのではないだろうか。昨年のハマカーンと同様に、『爆笑オンエアバトル』からライブシーンにおいてまで幾度となく観てきたものの、心の底から面白いとは思った事のなかった流れ星が、大舞台にて圧倒的に面白い漫才を見せてくれた。ちょっと感激してしまった。やっぱり私は流れ星のように、1つ、1つのボケに観る側の想像力を託せる、広がりがあるネタが好きだ。「空襲か?」とか。とりあえず、これから流れ星は売れるに違いない。楽しみだ。そして、流れ星のワイルドカードからの進出に誰よりも喜ぶ磁石永沢さん。昨年のハマカーン優勝での号泣に続いて『THE MANZAI』のハイライトだ。来年こそは磁石が爪後を残して欲しい。


磁石や流れ星と同じく、東京ライブシーンにおいてFKD48(吹きだまり48)として共同戦線をはっていた風藤松原の躍進もうれしい。今まで観た風藤松原の漫才の中で1番テンポが早かった気がした。ファンの人に言わせると違うのかもしれないが、それ故にとても面白かった。たまにテンポの遅さが作為的に見えてしまう所が苦手だったのだけど。この日の漫才はフレーズや構成力とセンスを堪能させてもらった。漫才って何て楽しいのだろう!とときめいてしまったな。


学天即の漫才にも惚れ惚れした。何の奇もてらわない正統派漫才にまだここまで面白さの余地が残っていたのか、という希望。スーツの美しい着こなしといいかっこいい漫才師の体現者だ。ここまで技術も高く、オリジナルなセンスを有する漫才を披露したコンビに1票すらも入らない賞レースが、事もあろうに漫才を大会名に冠しているだなんて!と大袈裟に驚きたい。


東京ダイナマイト天竺鼠のそれぞれのラディカルさも気持ちいいものだった。とは言え、スキャンダラスや意味不明さばかりが取り上げられているが、細部にセンスが光っていたように思う。銀シャリチーモンチョーチュウも笑わせてもらった。オジンオズボーンは個人的には苦手なのだけど、あのネタで勝ち上がれないのは気の毒だと思う。レイザーラモンを決勝に上げたのは運営サイドの話題づくりとしか思えない。HGもRGも嫌いじゃないけども、あの漫才が決勝に上がって、ワイルドカード枠に磁石、ジャルジャルスパナペンチ囲碁将棋らが留まってしまうのはいたたまれない。


昨年以上に盛り上がっていたし、とても面白い大会だった。しかし、願わくば、ワラテンシステムと3グループ制をどうか廃止にして欲しい。ワラテンシステムは国民の声でも何でもなくボケの手数を測定するものでしかない。今大会のNON STYLEのワラテンの結果を観ていた切羽詰まった芸人をあのスタイルに傾倒せざるえなくなってしまう。どうか漫才の多様性を殺さないで欲しい。3グループ制は、12組中で、本当に面白い3組が決勝に上がるわけでないのが歯がゆい。運も実力の内という事なのだろうか?1885組から死ぬ思いで勝ち上がってきた12組なのに、更にそこで運で試されるのはあんまりではないだろうか。