青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

是枝裕和『奇跡』


そして父になる』の素晴らしさを讃えて、是枝裕和の『奇跡』をDVDで観賞。傑作だ!傑作ではないか。これは2年前の自分に言っている。公開当時スクリーンで観たものの「まったりし過ぎていまいち」とか思っていたのです。たかだか2年前だというのに、映画の見方というのはどんどん変容していくものだ。


航一(まえだまえだ兄)達の暮らし家の前を走る三叉路だけで、もうどうしようもなく豊かな空間が広がっているではありませんか。そもそも、上り新幹線と下り新幹線が交わる瞬間に奇跡が起きる、というフォーマットは、過去と未来とが交わる映画の奇跡そのものじゃないか。航一の友人が憧れの先生(長澤まさみ)の自転車を眺めるシーンはどうしたってトリュフォーの『あこがれ』を想わせ、それでいてサドルを嗅ぐと見せかけて、ベル(音)を盗むというのがよいではないか。兄弟が再び、それぞれの家に帰る別れ際のホーム、線路が画面の奥にスーっと伸びているのも素晴らしい。また、奇跡目撃前夜の家屋でのシークエンスも出色だ。警察の補導から逃れる為に咄嗟についた嘘が、時間と空間を柔らかく変容させてしまう。ありえるはずのない孫の来訪。こう書くとまるでお涙頂戴映画のようだが、そんな奇跡をサラッと実現させてしまっている是枝の手腕よ。「スイミングスクール」だとか「ポテトチップス」だとか「かるかん」だとかで、スッと距離を飛び越えていくのもいい。また、航一が住んでいるのが鹿児島の桜島近くというのが効いてくる。「わけわからん」とくさしていた桜島の火山灰を航一が受れ入るというのは、降り積もっていく「時間」を受け入れるという事だ。ジュブナイルとしても良質で、くるりの音楽もいい。とりわけ、エンディングでかかる「奇跡」には本当にグッときてしまう。あれはいい歌だ。


しかし、2013年現在において今作最大のトピックは福岡のアイドルユニットRev. from DVLの橋本環奈が出演しているという事実だろう。SKE48松井玲那がTwitterで「橋本環奈ちゃんが可愛すぎて生きていく気持ちが芽生えました。」「マインちゃん以来の衝撃」と絶賛し、ネット界に衝撃を走らせている話題のアイドルだ。確かにかわいすぎる。

左端ですね。役名もカンナです。2年前の今作出演時はよりロリータですが、妙にエロいので、好きな方はオススメです。独特な声質もいい。東宝は彼女がローティーンの内に『学校の会談5』を撮るべきあった。ちなみにもう1人の女の子を演じる内田伽羅樹木希林の孫、つまり本木雅弘内田也哉子の娘です。彼女もとても存在感があって、いい女優さんになりそう。子役の演出はさすがの是枝節。ドキュメンタリーを観ているかのように、現実と虚構を行き来する。再見のタイミングは今に他なりません。TSUTAYAへ急ごう。