青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

おおひなたごう『銀河宅配便マグロ』

おおひなたごう『銀河宅配便マグロ』の1〜3巻を大人買いして読破した。

銀河宅配便マグロ 1巻 (ビームコミックス)

銀河宅配便マグロ 1巻 (ビームコミックス)

銀河宅配便マグロ 2巻 (BEAM COMIX)

銀河宅配便マグロ 2巻 (BEAM COMIX)

銀河宅配便マグロ 3巻 (BEAM COMIX)

銀河宅配便マグロ 3巻 (BEAM COMIX)

SFギャグ漫画である。懐かしい響き。下ネタが多いがギャグのキレ味は抜群。かつ異様な密度で敷き詰められバリエーションも豊富。相変わらず漫画表現を破壊するようなギャグも新たに生み出しているようです。ツッコミが徐々に不在になっていき、狂気が全キャラクターに蔓延していく感じも好きです。個人的にベストは第21便「ロムの帰還」の、心の中の住人が木造アパートに暮らしているってやつかしら。第三便「ハナフブキ登場」の平均寿命10歳と6000歳の星人同士の悲愛が描かれる本格SFもいいよな。相変わらず1話ごとの構成が練られていてお見事。だんだん宇宙も配達も関係なくなってきちゃうのはご愛嬌。しかし、作品が出ている事も把握していなかったのは情けない。
おやつ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

おやつ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

俺に血まなこ

俺に血まなこ

フェイスガード虜(1)

フェイスガード虜(1)

高校時代のバイブルは『おやつ』全5巻と『俺に血まなこ』シリーズであったというのに、『フィエスガード虜』以降すっかりご無沙汰だったおおひなたごう作品。いや、本当にかなり影響を受けていたのだな、と『おやつ』を再度して痛感しました。台詞の1つ、1つが身体に染み込んでいました。実験精神、パロディを通した批評性の高さ、仲がよく『バクマン!』
バクマン!

バクマン!

という作品を共に献上している爆笑問題に通ずるラディカルさ。どれも夢中になった要因であります。しかし、何故あそこまで好きだったのか、というとやっぱり、おおひた作品の根本に藤子不二雄マインドが根付いているからなのでしょうね。石黒正数の『木曜日のフルット』(こちらも『おやつ』や『フェイスガード虜』と同様に「週刊少年チャンピオン」連載だ)以上にコマ割り、構図、設定などにあからさまな藤子オマージュを自身の作品に散りばめている。F先生やA先生がポップさの中にひた隠していた歪さや狂気を増幅させ、ギャグにしてしまっているような所がある。『おやつ』は『ドラえもん』で、『フェイスガード虜』が『パーマン』+『キテレツ大百科』、宇宙船で銀河を飛び回りあらゆる星へ荷物を運ぶ『銀河宅配便マグロ』は『モジャ公』+『21エモン』へのオマージュだろうか。そうそう、今作は表紙のイラストも藤子マインドに溢れていて好き。特に2巻。このタッチでギャグ漫画1本書いて欲しいなー。