青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

山本直樹『分校の人たち』

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これはエロい、これはエロいですよ。現在、連載中の『レッド』がまさかの文化庁の主催するメディア芸術賞を受賞したりしているわけですが、やはり山本直樹にこうでなくては。


過疎化が進んでいるのか生徒がたった2人の学校。先生が教室に来るまでの間、親達が「カミサマの集会」なるものにうつつを抜かしている間、2人はこっそりと身体を重ね合う。

「こんなことしてるの見つかったらどうなるかな?」
「ものすごい怒られるかな?」

どうだろう、この閉鎖的で禁忌的なシチュエーション。昨今、おおっぴらに開かれていく「セックス」だけども、やはり「性」は秘め事であって欲しい。秘められているからこそに強烈にエロティックなのだ。また、クローズとオープンの絶妙な描き分けが憎い。秘め事であるはずの性の営みの描写は瑞々しいほどにプリミティブだ。

「裸で抱き合うのって気持ちいいね」
「気持ちいいでしょ」

単純明快な動機に基づいた純粋な快楽の運動として描かれている。彼らが潜在的に世界の閉塞感への抗いを「性」の開放感に求めているからだ。浅野いにおいの『うみべの女の子』はセンチメンタル過ぎた。また、2人の世界に転校生という介入者が入り込む事で、事態が急速に変化していく、という本質のようなものも描かれているように思う。山本直樹のシンプルな美しい線も絶好調だ。「萌え」とは程遠いその絵がこの上なくエロティックに機能している。


法律次第では今後刊行されるのかも怪しいラインだが(なんせ舞台は明記されていないものの中学校だ)、ぜひとも次巻も期待したい。驚くべき事に単行本1冊の分量を使っても、まだ本番行為には到達していないのだ!