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宮崎駿『風立ちぬ』特報

スタジオジブリ宮崎駿監督最新作『風立ちぬ』の特報をご覧になっただろうか。30秒にも満たないその映像に私は涙を浮かべかけてしまった。正直に言えば、このポスターだけで少し涙ぐむほどなのですが。

しかし、何なんでしょうか、あの特報の画の強さは。飛行機が飛ぶ際の地面に落ちる影。そして光。あんなものを見せられたら、実写はどうやっても適わないではないか。そして、あの特報の画面には「運動」しか存在しない。エンジンを入れる、機械が駆動する、プロペラが回る、飛行機が飛ぶ、風が吹く、スカートが揺れる。あーそうだ、「飛ぶ」という事は「風」が吹くという事で、それはつまり何かが「揺れる」という事なのだ。こういった「運動」こそが映画のプリミティブな魅力と豊かさであって、それを呆れるほどに面白い活劇に仕立て上げる破格の才能が宮崎駿なのでした。宮崎駿の凄さとは、空を飛んで、風が吹くからスカートが揺れるわけではなくて、スカートを揺らしたいから風を吹かせる、だから空を飛ぶ。そういう映画の作り方をしている所に他ならないわけです。そういう撮り方をしているからこそシーンの細部が豊かさで振動しているのだ。『天空の城ラピュタ』は素晴らしい活劇になりえた理由もそこに他ならないだろう。宮崎駿の恐ろしさは、更にそこに徹底したディティールの詰め込みと作劇の才能があるという事でして、改めて「世界で1番好きな映画作家は誰か?」と聞かれたら「宮崎駿である」と答えざるえないのでは、と最近は考えております。そんな宮崎駿がキャリアを(おそらく)締め括るであろう作品『風立ちぬ』、やはりそれは彼の永遠の命題である「飛行」がメインモチーフであるらしい。私はスクリーンで観れるだけ観たいと思います。