青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ロロ『ミーツ』


おおいに笑わされたし(「愛のメモリー」最高)、ゾクゾクと興奮もしたのだけども、2011年の「夏シリーズ」を彷彿とさせるとっ散らかりが全面に出ていた。しかし、「夏シリーズ」同様に愛すべき意欲作でもあると思う。あらゆる管を直す者、というのが出てきて、父としての缶コーヒーであったり、母の涙であったり、父の股関の象からの噴出であったり、水槽であったり、そういった液体の流れを促していた。「家族」の血の循環でもあるし、「本当」と「嘘」をむりやりに循環させてしまう試みにも見えた。これが刺激的で、サンプルの松井周(アフタートーク初回のゲストであったらしい)の「変容」「変態」の手さばきを彷彿とさせた。しかし、あそこに「おままごと」というセンテンスまで持ち込んでしまうのは詰め込み過ぎではないだろうか。


「想像力」「見立て」はこれまでもロロの重要なモチーフであったと思うのだけど、今回は他者と他者の「想像力」の折衷点というものに果敢に挑戦している。同じモノを見ていなくてもいいのではないか、という三浦直之のサジェスチョンだろう。凄い所に挑んでいる、と思う。しかし、テーマが前に出過ぎていて、細部の豊かさとカタルシスに欠けていた。もし、この挑戦が高い精度で為された時、立川談志がいうところの「イリュージョン」の領域に突入するに違いない。次のロロの作品がとても楽しみなのだ。