青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ラブレターズ×ウエストランド トークライブ『ラブラブバレンタイン』

ラブレターズ×ウエストランド。新宿ネイキッドロフトにてこの今じんわりと勢いのある同期2組のトークライブ『ラブラブバレンタイン』に行ってきました。この2組となると会場はさすがに男祭りかと思いきや、女性客が8割でした。意外だ。いやはや、むちゃくちゃおもしろかった。タイトルの『ラブラブバレンタイン』にまつわる話などはほとんどなく、ほぼフリートーク。なんせウエストランド井口がうるさい、いい意味で。何が凄いって3時間のトークライブで、企画主催者で司会のラリー遠田に合計5分も喋らせなかったのではないか、というほどに喋り続けていましたからね。


とにかく印象的だったのはその井口の確かなトークスキル。笑いの理論が完璧に頭に入っていながらも、頭より身体と口が動いてしまうような、そのグルーヴ感が心地よい。言葉のキレ味とスピード感が抜群だ。そして、対照的にお笑いスキルを何一つ持ち合わせていない事が判明した相方の河本。事務者の社長太田光代からは

ウエストランド河本は太田光と同じ目をしている

と評されており、ネタ中やテレビではほとんど喋らないので、もの凄いセンスがありそうなオーラを出していますが、彼は本当にただのアウトロー野郎でございました。驚く事にマイクすら使えないのだ。更に笑いの基本中の基本をことごとく理解しておらず、間も空気も関係なく勝手に喋り出したり、ボケたり、奇声を上げたりする。イラつきながら、そのいちいちもしっかりと理論を説明して注意する井口が面白い。河本はネタ収録にも酒を飲んで目を充血させて挑むほどのやばい奴だそうですが、しかしやはり何だか華がある。個人的に「合コンではだいたい女の子に尻の菊門を見せつけたりして引かれて終わる」という河本のエピソードに、「都の条例から読み直せ、ウエストランドを終わらす気が」という井口の注意が好きでした。後、河本は井口に対して「身体を捧げてもいい」とまで言ってのけるほどの愛があるのもいいですね。


そして、どうしても期待してしまうのが爆笑問題太田光代エピソードなわけですが、しっかり頂く事ができました。「タイタンは若手が育たない」という風評を気にしていたのか、ウエストランドの台頭を太田光は大層喜んでいるらしい。普段は会っても「おー」くらいの挨拶しか交わしてもらえないそうなのだけど、実はウエストランドが出演する番組は全て録画してチェックしている上に、30人ほどしか視聴していないユーストリーム番組まで観ている。そこで聞いたエピソードを元に番組で共演する際にパスを出してくれるのだそうだ。更にウエストランドはテレビ局でディレクターなどに挨拶に行くとたいてい

あーウエストランドね。太田さんから聞いてるよ

と言われるという。な、泣ける。単なる事務所の先輩というよりは太田光は経営者寄りの人間でもあると思うので、一概に芸人愛では括れないとは思うのだけど、それでもこの愛はビジネスを超えた美しさがあると思います。あの多忙であろう人がユーストリームまでチェックしているのだから。社長太田光代からの河本への寵愛に関しては「まぁ、抱いてますからね」というしょうもない河本のボケに「どうかしてるわ!」と井口が切れるも、河本は「でも、僕はあの2人を看取るつもりでいますよ」と返す。「あの2人には子供がいない、だから俺らが最期を看取るんだ」と。井口も「まぁ、あんないい人、一生ついていくしかないですよ」と。泣かせますね。田中裕二に関してのエピソードは、「山口もえとの交際報道に浮かれたのか、いつもくれた事のないお年玉を毎年あげているかのようなノリでくれた」という、イメージを裏切らないクソみたいなエピソードでこれまた最高でございました。



対するラブレターズウエストランドの2人が喋り過ぎで、ちょっと損したような格好でしたが、僕はやはりこのコンビが好きだ。とにかく強烈なのが溜口のクソみたいな人間性。例えば、ウエストランドとは無所属時代からのライブデビューが同時期で、ずっと仲がよかったのだけど、ラブレターズが2011年にキングオブコントでファイナリストになった途端にメール等の返信は一切返ってこなくなり、口も利いてもらなくなったそうな。「劇場でくすぶっている芸人とファイナリストである自身は釣り合わないから付き合う必要はないと思った」「最近はやっとウエストランドが自分たちの地位まで上がってきた」などとはっきり言ってのける鬼畜っぷり。

賞レースのファイナリスト以下とは付き合わない

人力舎で言えばラバーガール以下とは付き合わない

など、とにかくとんがりまくっていたらしい。まぁ「そのような考え方はよくない」としずる村上に叱責を受けて、今ではその過剰なまでのとんがり期は脱したらしい。とは言え、今でも芸人を見るとその後ろに能力を表わす五角形のグラフが浮かび、そのグラフが低いやつとは絡まない、などと言っているわけで、充分にクソ野郎なのだ。しかし、このクソっぷりがどうにも気持ちよくなってしまう。こちらが必至に隠していた業のようなものを無理矢理にさらけ出される痛みと快感だろうか。また人のよさが滲み出た塚本の受けがいちいち心地よい。溜口のクソっぷりに対しても「人間としての深さがある」と評してしまう人格者。彼がネタを書いているというのもいいよなぁ。


興味深かった話として、「ライバルと思う芸人は誰か」という質問に対して、前述の溜口が芸人の後ろに見る五角形のグラフを元に、アルコ&ピースの名前を挙げる。「ネタ、トーク力、世界観、演技力、華・・・どれをとっても、今周りの芸人でトップなのはアルコ&ピースさん、恐れ多くもライバルとして挑戦したい」と。「本来の意味でのライバルと言ったら、うしろシティジグザグジギーなのだろうけど、そこで争うよりは高い所をライバルに設定したい」などと、やはりとんがり気味な発言。また、溜口個人のライバルとしては鬼ヶ島のアイアム野田の名前を挙げていた。対して、ウエストランド井口は「テレビに魂を売ったので、劇場にライバルはいないと思っている」と発言。更に「漫才は今すぐにでも辞めてタレントして売れたい。今のスタイルの漫才もテレビ用。本当は普通の漫才がしたい」とかまし、波紋を呼んでおりました。とは言え、事務所のタイタンライブがあるので漫才は一生やっていかねばならないな、と覚悟はしているそうです。さすが爆笑問題チルドレン。


他にも人気投票あり(ちなみに1位河本、2位は同率で井口と塚本、最下位が溜口でした)様々な脱線エピソードトークありと、非常にワチャワチャしたトークライブだったのですが、2組共に実にクレバーに自身とお笑い界、テレビ界の分析をしている事が強く印象に残った。ラブレターズウエストランド、今後も超注目の2組であります。