青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

立ち食い蕎麦の衝撃


何やらクラシックな佇まいながら、看板には「十割そば280円」という衝撃価格が掲げられている。立ち食い蕎麦屋の新興チェーン店「嵯峨谷」である。公式HPが見当たらないので、定かではないのだけど、渋谷、浜松町、虎ノ門、水道橋、高田馬場あたりに店を構えているらしい。"名物"と謳われていた「あじねぎ天そば」400円を食べてみた。”あじ”とはあの魚の”鯵”である。立ち食いチェーン店で鯵の天ぷらが楽しめてしまうのだ。これが一つ目の衝撃。他のメニューに目を向けてみると「刻み玉葱そば」「ごまだれ」「あじ天ご飯」「親子丼」「冷麦」・・・どれも気になるものばかりである。胡麻ダレのお蕎麦には目がない。いや、待て、冷麦なんてのもチェーン店ではなかなかお見かけしないぞ。
しかし、今は目の前の「あじねぎ天そば」に集中したい。天ぷらを一口食べて、腰を抜かす。天ぷらが揚げたてなのだ。二つ目の衝撃。立ち食いそばと言えば、作り置きのフニャ天がデフォルトであろう(あれはあれでいいものだ)。しかし、ここのは熱々ジューシー。サクっとした衣に、柔らかい鯵のホクホクとした身のコントラスト、そして衣が徐々に汁でふやけていくマゾスティックな快感よ。更には、わかめは取り放題ときた。蕎麦自体も美味い。十割そばの看板に偽りなし、太く香り豊かな麺である。七味唐辛子でもって、更に香りを引き立てて食べようではないか。この蕎麦が280円で食べられてしまうなんて。これがもう何個目かわからぬ衝撃。しかも、24時間営業である。もう行かないわけがないのである。