青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

2012 BEST 演劇作品20

1.ロロ『LOVE02』]



2.ロロ『父母姉僕弟君』
3.青年団東京ノート
4.ハイバイ『ポンポンお前の自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン』
5.五反田団といわきからきた高校生『チャンポルギーニとハワイ旅行』
6.快快『りんご』
7.ハイバイ『霊感少女ヒドミ』
8.ロロ『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』
9.チェルフィッチュ『現在地』
10.マームと誰かさん・ふたりめ『飴屋法水さん(演出家)とジプシー』
11.青年団『月の岬』
12.サンプル『女王の器』
13.快快『Y時のはなしin児童館』
14.ナカゴー『黛さん、現る!』
15.五反田団宮本武蔵
16.アルカンパニー『家の内臓』
17.マームとジプシー『ドコカ遠クノ、ソレヨリ向コウ 或いは、泡ニナル、風景』
18.大ナカゴー『評価』
19.岩井秀人『ヒッキー・ソトニデテミターノ』
20.わっしょいハウス『エーテル』


なんと1、2位がロロです。どちらの作品が1位でもかまない、ほんと日替わりで入れ替わるくらいに2作品とも愛しています!私の2012年はロロの年でした。そして、ロロこそ前述したカルチャーラヴァー達に「どーですか?」と差し出したい劇団No.1なわけです。戯曲の内容は基本的にあらゆるバリエーションで「好きだーーーー!」って叫んでいます。そして、あらゆるテクニックを駆使して、発生する感情の1秒だって無碍にする事なく、全てを光り輝かせようとするのです、泣けちゃうのです。その肯定は、恋愛とかそういったものに限られなくて、主催の三浦直之はあらゆるカルチャーに傾倒していて、それらをまた「好きだーーーー!」と串刺しにして作品を作りあげているのですが、なんかその作品を見ていると、『ドラゴンボール』のカードダスだけが財産だった自分とか、モーニング娘。とへヴィーメタルが全てだった自分とか、フリッパーズギター岡崎京子ラーメンズに夢中だった自分とか、かつて存在した何かに夢中だった僕!が全部肯定されたような気持ちになるのだ。これはとてもうれしい事なのです。
東京ノート』『月の岬』は現代演劇のマスターピースのような作品の再演なわけですが青年団平田オリザの凄さを初めて体感できた喜びです。平田オリザという人は映画界で言えば小津と成瀬が同居しているような才能だと思います。岩井秀人作品が『ポンポンお前の自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン』『霊感少女ヒドミ』『ヒッキー・ソトニデテミターノ』、と3作ランクイン。最初に演劇にズーンとやられたのが、ハイバイの『捨てられやすい石』だったのですが、そこから見れば見るほどこの人の作品の臭みが好きになります。1度でも人間関係に完全に絶望した事のある人なら絶対コミットできる、他では描かれない情景がありますよ、ハイバイには。同じく、『チャンポルギーニとハワイ旅行』『宮本武蔵』『家の内臓』と3作品ランクインしたのが前田司郎。この人と岩井秀人の書く戯曲に、僕はどんなお笑い芸人のコントよりも笑ってしまうのですね。いわきの高校生達と共に作り上げた『チャンポルギーニとハワイ旅行』は「震災」をもろにモチーフとして描いた作品の中ではベスト。そういったアクチャルな事象を捉えながらも「どうにかしなければいけない事をどうすればいいか」に永遠に悩み続け踊る青春の全てが詰まった傑作でございました。後、サイコーに笑えるのが2作ランクインのナカゴー。バカバカしく動き回っている内に、とんでもない場所にたどり着いている感触が気持ちよかった。サンプルの「変態」というダブルミーニングの演出こそ、難解ながらも演劇のプリミティブな快楽性な気がしている。「自慢の息子」もよかったのだけど、「女王の器」のより混沌とした世界観と演出の衝撃が忘れられません。マームとジプシーは昨年以上に多作だったのだけど、個人的はちょっと響かなくなってきている。そんな中では飴屋法水とのコラボ作が断トツによかった。快快とチェルフィッチュの表現の密度、新しさ、速さには大きく驚かされる。今でもじんわりと私の思考に種火が宿っている感じ。わっしょいハウスは、ファンとして1番期待している劇団なのでなんとか強引に20位に潜り込ませてみました。


どーでしょーか。演劇の敷居を下げられたら、と思うのですが。とりあえず、何か1本で観てみて、「面白かった」「つまらなかった」「わからなかった」なんてワイワイやってみるのも楽しいと思いますよ!