青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

大ナカゴー『評価』


座・高円寺2で大ナカゴーの『評価』を観た。チラシやパンフレットのイラストが大橋裕之!さて、会場も大きくなったし、出演者数も増えた(16人!)わけだけど、わざわざナカゴーと別名義にする必要があるのか。しかし、そのハッタリ感というか、無意味性がいい。圧倒的にバカバカしくポップで笑えて、そして少しだけアクチャルで現実に有効なスパイスの効いた鎌田順也の本は間もなく大ブレイクするであろう事間違いない!


今作の総勢16人という出演者数による効果は、平田オリザの「同時多発会話」を推し進めてそのままぶっ壊してしまったような痛快さが何倍にも膨れ上がっている点にあるだろう。やみくもに乱発される台詞、パワフルな動線、どれも役者のフリー演技のようでいて、かなり計算され尽くした演出なのだ、と推測される。とにかく、ナカゴーの作品においては、そこに上がった人間全員が黙っちゃいないし、常に生きている。この圧倒的な"生"の放出が見たくて、私はナカゴーの舞台に足を運ぶのだろう。


佐々木幸子(野鳩)と 墨井鯨子(乞局)のお馴染の強力な客演陣に加えて、今作では板橋駿谷(ロロ)、川面千晶(ハイバイ)、神戸アキコ(ぬいぐるみハンター)というどう考えてもナカゴー向きの豪華絢爛(?)なゲストによって、キャラが濃い人が登場するたびに舞台が更新されていくような快感が研ぎ澄まされておりました。佐々木幸子の『3年B組金ハ先生』黎明期の女生徒を彷彿させる演技メソッドに笑わされる。篠原正明と板橋駿谷という小劇場界の誇る2大マッチョの無駄な共演(もちろん2人とも脱ぎます)に震えました。しかし、あまりに人が多すぎて、面白そうな設定(双子とか、掃除機とか、ふてくされ子とか、伏線さんとか)が放りっぱなしになってしまったのは残念。けど、その無意味さも支持したいから困る。個人的には篠原正明演じる店長が、終盤に近づくにつれどんどん優しくなるのが泣けました。才能と評価というテーマが、循環を意味する噴水に託されるフィナーレは、舞台装置も含めて抜群の出来栄え。華やかな噴水の美しさ、それを支える見えない部分で巻き起こる絶え間ない循環の運動に泣くのだ。