青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

星野源×槇原敬之 in RADIPEDIA

星野源J-WAVEで毎月曜日24時より放送しているラジオ『RADIPEDIA』の2012/12/10放送分を聞いた。ゲストは槇原敬之。意外な組み合わせのようだが、星野源が作るラブソングにはそこはかとなく、マッキ―の影を感じていて、例えば「くだらないの中に」における

髪の毛の匂いを嗅ぎ合って くさいなぁってふざけあったり
くだらないの中に愛が 人は笑うように生きる

なんてラインには、ついぞ槇原敬之の後継者が現れた、と静かな興奮がある。事実、星野源槇原敬之の詩集

うたのきろく

うたのきろく

を購入するほどのマッキ―フリークであるそうで、そんな2人の初共演に俄然興味が沸いた次第なのです。


マッキーはのっけから陽性のヴァイブス全開でハイテンション。まず、星野源がマッキーへの敬愛の気持ちを告げると、マッキーもまた星野源のファンである事を告白する。

これはもうお見合いだね

というマッキ―節。「くだらないの中に」を初めて聞いた時、「とうとう日本にこういうアーティストが現れた」と涙を流したらしい。

メロディー、歌詞、編曲、その全てに感銘を受け、「待ち焦がれていた、本物です」という賞賛まで飛び出す。


また、YMO狂で歌詞なんてどうでもいいと思っていたマッキーが「ANSWER」という歌モノを作るようになったエピソードを披露して、それに対して星野源が「くだらないの中に」制作時の心境で返答するなど、興味深い時間が続く。


星野源が「褒め殺しですねー」と謙遜すると、マッキーは

僕、狙ってる
何か奪って帰ってやる!みたいなね(笑)

と応えるなど、自由で楽しい時間が続きます。


マッキーがデビュー時の自身のルックスに自信を持っていなかった、というエピソードにもドキっとしてしまった。オーディションの履歴書も顔をごまかしたり、なるべく顔が写らないよう工夫して提出していたらしい。故に、もともとは表に出て歌う人でなく裏方を目指していたという。そういうコンプレックスが根底にありながらも、歌われる楽曲がどこまでもエヴァーグリーンなポップソングであった、という”ズレ”にグッときてしまう。「最近、自分の醜い部分を認めてあげる事で、綺麗な部分がより綺麗に見えてきた」と語っていたのだけど、実はマッキーはそれをデビュー時から無自覚に(完璧な形で)遂行できていたのだ、と思えた。


続いて、星野源による槇原敬之の歌詞分析。取り上げた楽曲は「Red Nose Reindeer」というシングルのカップリングであり、オリジナルアルバムには未収録の楽曲(ファンの人気は高いのでベスト盤には収録されています)。マッキーの歌詞のテクニックの巧さを実にわかりやすく説明していて感心する。例えば、「クリスマスソングなのに時期がクリスマスじゃない素晴らしさ」とか「冒頭の赤鼻(トナカイ)が最後で白鼻(新幹線)に変わる巧さ」だとか。星野源の自身の楽曲での歌詞のこだわりも垣間見る事ができた。こんなに歌詞に力を入れているアーティストだったとは。ラストはクリエリティビティの話となり、「頑張らないとですねー」なんて言っていたのですが、マッキーの

一緒にイこうよ、絶倫で!

というもはや確信犯とか思えない返しに、ノックアウト。いや、星野源もですね

い、一緒にぃぃ?

とか動揺して返すもんだから。自らノリノリでLGBTのパブリックイメージのようなものを演じてみせるマッキ―は、性差みたいなものから解放されていて、気持ちがいい。



いやー面白いラジオでした。しかし、1つだけ苦言を呈させて頂くと、女性パーソナリティも交えたオープニングトーク、読者ハガキなどのくだりは端的に言って退屈。連発される下ネタも正直、自身のパブリックイメージに対する予防線のようにしか聞こえなかった。J-WAVEとしての品位をギリギリに保ちたいのか、何なのかわからないけども、パートナーに女性パーソナリティを配置していて、それ故に下ネタの美しさがグッと損なわれてしまっている。下ネタは同姓同士の秘密の花園であって欲しい。「もうマッキーが出てくるまで待てない!」とラジオの電源を切ろうした時、流れてきたニューシングル「知らない」のイントロが素晴らし過ぎてウットリしてしまった事は内緒だ。