青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ザ・なつやすみバンド『めくらまし!』

ザ・なつやすみバンドが1stシングル『めくらまし!』を発売されましたー。

わー。「めくらまし!」と「デートソング」の2曲入りで500円。デザインは今回も惣田紗希先生。更にMC.sirafuのイラストが採用されているそうな。タワーレコード渋谷店のリューアル記念という事で、とりあえず渋谷店限定発売だそうなのですが、一刻も早く全国発展して欲しい名シングルの誕生です。表題曲「めくらまし!」にバンドの確かなネクストレベルが刻まれている。格段に抜けがかよくなったリズム隊が牽引するロックンロールチューンだ。今回、MC.sirafuがギターレスの隙間を埋めるのはスティールパンでなく(一部使用していますが)、オルガンのような音色のシンセサイザー。これがかっこいい。こいつは今年お亡くなりになったジョン・ロードDEEP PURPLE)に追悼を捧げたプレイに違いない、とTwitterでつぶやいたら、「聴いたことないです」と一蹴されました。すいません。とにかく暴れまわるようなMC.sirafuのフレージングが痛快で、そこに優しく寄り添うような中川さんの鍵盤プレイも素敵だ。ストレンジでキュートなコーラスにも磨きがかっていて(「デートコース」のコーラスも最高)、絶妙に楽曲をズラしていきます。おそらく普通にきっちりと演奏すれば、東京事変のような音にもありえるのだろうけど、ポップさを微塵も落とすことなく、そこからズラしていく、その加減が最高なのだ。しかし、今曲によって中川理沙のポップソングライティングの強度がaiko椎名林檎といった第一線級と比べてみても決してひけをとらないのだ、という事が堂々と証明されたのではないだろうか。どうでしょうか。歌いだしのメロディーだけでもう決まり!という気持ち。では、どんな事が歌われているのか、に目を向けてみよー。

どれくらい過ごせたんだろう
日々を偽って 飾れば暮らしやすいけど どこかぎこちない
透明だった窓はもう雲って見えづらいな
おんなじなんだ つきまとう 不思議なうしろめたさは
消えないね

常にフラットな印象をもたらしていた中川理沙の歌が跳ねてドライブしている事にまず驚く。ソングライター中川理沙の「生きづらさ」「居心地の悪さ」が独特な言葉の歌われているのだけども、

ヒューっと鳴るだれかの口笛が
世界を変える合図で

というラインにひっぱられるようにして、楽曲は世界の構造をひっくり返してくれる。アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ星の王子さま』の中の「大切なものは、目に見えない」という現在でも多く引用されるそのフレーズの意味を、「めくらまし」というワードに託すセンスを信頼したい。更に

飛びまわる 水蒸気のように
かたちにはなれない
隙間からひゅんとすべりこんで
きみをつかまえてみせるよ

という歌詞に、「めくらまし」本来のアクションを盛り込み、

見えづらいやさしさの裏には たまにきみの涙が見えた
本当は見逃したくなんてないのに

とつないで

見えないところがたったひとつの 希望なんだよ

で結ぶ巧さ!いやーこれはちょっと素晴らしい歌詞だ。嘘とか偽りだとかのネガティブさに潜む、目には見えない本当の事を救いだすその視線。こういうポップソングがあるから、生きていけるんだなー。