青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ayU tokiO『New Teleportation』

ayU tokiOなるユニットの1stミニアルバム『New Teleportation』が素晴らしい。

特にお気に入りは「MY ROOM」「超時空転移装置」の2曲。ドキドキするほどにポップ!しかし、やや時代遅れ感のあるMTRによるローファイな多重録音作品にこんなにもときめいている事に驚く。まずもってソングライティングが素晴らしいのだ。ayU tokiOはMAHOΩのソングライターの1人でありまして、彼がMAHOΩに提供している「僕らに愛を」「狐の嫁入り」「乙女のたしなみ」という楽曲のニューウェーブ渋谷系、歌謡曲等を巧みに融合させてフックを撒き散らす抜群のポップセンスは今作でもいかんなく発揮されている。サウンドは英語で歌われる所謂ギターポップなのだけど、何故だかとてつもなく瑞々しく愛らしい。

世界は僕のものなのに!

そんな、少年にだけ宿るやけっぱちの万能感のようなものが彼の音楽から感じとれるからだろうか。歌詞に目をむけるとどこか内省的な部屋に籠ったティーンエイジャーの情景が浮かぶ。タイトルはニューテレポーテーション。ayU tokiOがその「超時空転移装置」を使って、自身のベッドルームと繋げようとするのは、かつてのグラスゴーもしくはかつての渋谷。Aztec Camera、ORANGE JUICE、THE PASTELS、Teenage FanclubBELLE AND SEBASTIAN、ヨシノモモコ、Lollipop Sonic、Flipper’s Guitar。部屋の壁に所狭しと貼られた憧れのバンドのポスター、ヘッドフォンをしてパジャマ姿でベッドに立ち上がり、ギターをかき鳴らすどこか内向的な少年。そんなロマンティックな画が浮かんでくるではないか。今作はカセットテープというフォーマットでのリリース(6曲入り800円!MP3コード付き)。「ポストカード」「アノラック」「ギタポ」「ネオアコ渋谷系」etc・・・懐かしい*1ワードをモコモコしたカセットテープの音像で立ち上げる。そこから垣間見える煌めきをリプロデュースしていく。秘密の部屋で回転、再生。過去への慈しみと未来への憧れ。それがayU tokiOが夜な夜な行っている実験だ。ayU tokiOの実験はライブに場を移すとヴァイオリンやフルートといった弦楽器、管楽器とMTRサウンドの融合にまで及んでいる。あードキドキする。The Sound of Young Japanese。外へ飛び出すための音楽。

ずいぶん前の出来事に 私たちはときどき立ち止まり
また次の一歩を、踏み出していく
「TELEPORT」

最新型というのはいつだって、どこか懐さを含んでいるのかもしれない。

*1:というか私は全然リアルタイムじゃないです