青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

さくら学院LIVE『さくら学院祭☆2012』in恵比寿ガーデンホール

恵比寿ガーデンホールで開催されたさくら学院の『さくら学院祭☆2012』があまりに美しく幸せな空間で、これははまり過ぎると反動で大変な事になってしまうのではないかしら、と心配です。さくら学院は昨今のアイドルグループとしては珍しく握手会や撮影会などのファンとの接触を行っていない。更にライブも年に数えるほどで、そのライブもスタンディング禁止。その抑制が、「どんな瞬間も見逃すものか」という父兄(ファン)の姿勢を形成させている。


Twinklestars 、BABYMETALという優秀なポップチューンを量産するユニットを生み出した部活動というコンセプトもおもしろく、新しく誕生した科学究明機構ロヂカ?はもうシングルのタイトル「サイエンスガール▽サイレンスボーイ」の時点で素晴らしい。

Perfumeのようなエレポップサウンドを彷彿させつつ、NHK天才てれびくん』の楽曲に着地するようなノスタルジックなナイスナンバー。今後の動向も注目です。とにかく本体も曲がいい。「FRIENDS」「ベリシュビッシュ」「WONDERFUL JOURNEY」「チャイム」「Hello ! IVY」「 FLY AWAY」「夢に向かって」「School Days」・・あぁ、どれも背筋がシュっと伸びるような清々しきポップス。その端正な歌唱も素晴らしいのです。何より特筆したいのが、今回初めて聞いた「Song for smiling」(シングル『WONDERFUL JOURNEY』の初回版のカップリング曲)の素晴らしさ。モータウンであり、ロックンロールであり、そして何と言っても斎藤和義の「歩いて帰ろう」なギターとベースのフレーズに乗せてわれる最高のポップチューン。

Step by step 一歩ずつ行こう Day by day 毎日ちょっとずつ
Do my best 本気出したら Piece of cake ちょちょいのちょいよ
なんでもない 全てのものが どこにもない 素晴らしいものに
面倒くさい 退屈な事も きっと未来 切り開いてく

これはもう涙ものです。またダンスの振り付けも素晴らしい。それぞれが自由にClap Your Handsする少女達。この曲に限らず、さくら学院の振り付けは、小6から中3の成長期まっさかりな子たちが在籍するユニットならではの、大きい身長差を存分にいかしたフック溢れる作り。そして、とにかく品が良い。この素晴らしい仕事っぷりは、Perfumeでお馴染のMIKIKO先生だ。


今回のライブでは中2組4人の成長に感動しました。しっかりとグループの中核になっていた。新生徒会長である中元すず香も、かつては一匹オオカミエースという感じに見えたけど、リーダー然としたオーラをバチっと発していてた。そして、何と言っても水野由結菊地最愛の圧倒的かわいさと表現力。天才だと思う。とにかく、あの鬱陶しい重力(もちろんメタファー込みの)から解放されて、常に少し浮いているような彼女たち。


そうそう、ドラえもんみたいに。その彼女達が喜びに身をまかせ飛び跳ねるダンス。あれを見つめる事ができる瞬間こそが現代を生きる我々が天使を目撃できる最後の聖域です。ドラえもんでごまかそうとしたけども、今のラインはどうにも気持ち悪いですね。成長期限定ユニット、として中学3年生を終えると必ずグループからも卒業せねばならない、というあの決まりが刹那を可視化させて、彼女達の美しさを際立たせているのかもしれない。とにかく、現在のさくら学院のライブは素晴らしい。最高に効く。しかし、劇薬でありまして、副作用注意!です。