青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

私立恵比寿中『ほぼブラジル』

私立恵比寿中学のメジャー2ndシングル『Go! Go! Here We Go! ロック・リー / 大人はわかってくれない』

をへヴィーローテーション中だ。上記の通りジャケットとカップリング曲の差異で3パターン出ています。A面の「Go! Go! Here We Go! ロック・リー」

はアニメ『ナルトSD ロック・リーの青春フルパワー忍伝』の主題歌だそうで、そちらの世界観に寄せたビジネスライクな1曲。前山田健一の手癖感が強く出すぎて正直個人的な評価は低い。ももいろクローバーにあげたほうがよかった思います。しかし、たむらぱんのペンによるもう1つのA面「大人はわかってくれない」
はなかなかの良曲。かつて、いい歳したおじさんが単調なビートで青い歌詞を歌う楽曲を「青春パンク」なんて呼んでいた事を謝罪したくなる、これぞ青春パンクな1曲だ。怒りのゲットアウト!がゲラゲラと笑いに変わっていくなんていうオノマトペなギミックも巧い。

がんばっている姿とかなんて見せるのは 恥ずかしいじゃない
私たちはいつも余裕かまして キラキラ飛び回るティンカーベル

というラインが、「Go! Go! Here We Go! ロック・リー」の

努力!努力!努力!努力!努力!努力は裏切らない!!

というラインと対になって、少女の不安定な多面性を浮かびあがらせる構成も憎いぜ。しかし、とにかく今夏最高の1曲がすべり込みセーフで登場だ!とわたくしが興奮を隠し切れないのが、「初回生産限定盤A(ブラジル盤)」のカップリングに収録されている「ほぼブラジル」であります。エビ中の楽曲で1番好き!これが初回限定盤にしか収録されないのはあまりに恐ろしい事なので、アルバムに収録されるのを祈るか、今すぐCD屋に走るか、ですよ。前山田健一が「えびぞりダイアモンド!!」「ザ・ティッシュ 〜とまらない青春〜」「エビ中一週間」「オーマイゴースト?〜わたしが悪霊になっても〜」などの名曲郡をエビ中に残した業績には最大の敬意を払いながらも、ここ数作においては氏を遥に上回る楽クオリティの楽曲を提供しているクリエイターがいる。それが、さつき が てんこもり先生。『もっと走れっ!!』に収録の「売れたいエモーション!」、『仮契約のシンデレラ』に収録の「歌え!踊れ!エビーダダ!」、2曲共に初めて聞いたときはクレジットを思わず確認してしまうほどでありました。とにかく楽曲のコード進行やメロディの抜き差し加減が絶妙なのだ。「一体何者なのか!?」と検索してみると、勉強不足でありました、さつき が てんこもり先生はどうやらニコニコ動画などでは超有名なクリエイターらしい。

勝手な想像なのだけど、ボーカロイド楽曲ってボーカルが無機質な分、コードとかメロディーの進行や上げ下げをとことん研ぎ澄ますして作っているんじゃないかしら、って。エビ中におけるさつき が てんこもりの楽曲は、生身の少女達の躍動するボーカルを使用できる喜びに満ちていて、とにかくボーカルラインが凝りに凝っている。ボイスサンプリングのフックに満ちたアレンジもとにかく秀逸だ。また、それに応える私立恵比寿中学の表現力も、1年前では考えれないくらいに向上していて、ちょっと泣けてきてしまうほど。ハモリのコーラスも実に凝っていて素晴らしいのだ。しっかり全員に振り分けられて、それぞれの個性を発揮させるパート配分もエビ中の魅力。このパートのここが好き!と書き連ねたいのだけど、ほぼ全部のパートが好きだからやめておく。製作時には、10年前(!!)のモーニング娘。の「そうだ!We're ALIVE」が念頭にあったのではないかしら、と妄想する。「ほぼブラジル」は、往年のハロープロジェクトでのギラついていたつんく♂のクリエイティビティに負けず劣らず、いや更にその一歩先を行く素晴らしい楽曲だと断言いたします。ファンキーなリズムパターン、的確に入ってくるシンセ音、完璧なサビ、そして、サビ前にこれでもかと挿入される美味しいメロディー群。

ただでさえ蒸し暑い毎日 ハートウォーミングはお呼びじゃない

意味なんてないけど それでも今日も走るよ

というシニカルな立ち位置表明も痛快で、しかし、歌詞はうだるように暑いがあまりに短い夏をノスタルジックに的確に拾い上げていて泣けるのだなぁ。ほぼブラジルって多分「黒い魔神」ことボボ・ブラジル

から着想してつけられたタイトルだと思う。泣けますね。いや、そこは別に泣けないかぁ。今後もさつき が てんこもり先生と私立恵比寿中学の美しい関係を聞き続けたい、いつか表題曲も!と祈る。