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MITCHELL FROOM『A THOUSAND DAYS』

MITCHELL FROOM『A THOUSAND DAYS』

Thousand Days

Thousand Days

Paul McCartneyElvis CostelloSheryl CrowCibo Matto、Suzanne Vegaといったアーティストのプロデューサーとして知られるMITCHELL FROOMのソロアルバム。

Tchad Blakeと共に名前は把握していたものの、ソロアルバムを出している事を知らなかった上に、プロデュース作品すら全く聞いてこなかったわけですが(Cibo Mattoは聞いた)、これは素晴らしいです。うつくしきひかりのレーベルcomaprenotes/mapのサイト内の記事(http://mapup.net/wp/2012/06/countbessi/#more-2240)で、取り上げられていたのがきっかけで購入。Amazonで1300円くらいで買えちゃいます。なんでも『うつくしきひかり』を制作する前に構想として上がっていたのが、この『A THOUSAND DAYS』というアルバムだったそうです。また、あのMC.sirafuのフェイバリットの1つでもあるそうで、これは聞かないわけにはいかないのです。前述のビックネームプロデューサーのイメージでもって聞くと拍子抜けするほど、簡素なピアノアルバム。敏腕プロデューサーによる2〜3分台の小曲が詰まったピアノアルバムというとGonzalesの傑作『solo piano』
Solo Piano

Solo Piano

が思い出されるが、遠からずの作品。あちらが弾き方の録音にこだわっているのに、対してこちらは空間全体の録音にこだわっているという印象。こういう音を聞くと、すぐ「サティ」とか「ラヴェル」の名を持ち出してしまう音楽教養の貧困さにコンプレックスを感じつつも、やはりこれは「現代のエリック・サティだ」と言ってしまいたい。テンションは決して上がりきらず、下がりきらず。「生活の中に溶け込む音楽」だ。遠くでピアノが鳴っている。空気が振動している音が聞こえる。スピーカーで聞くと、まるでそれが録音された部屋にいるかのような感覚に陥る。これを演奏、録音した人物が時を、空間を慈しんでいるのがわかるのだ。A THOUSAND DAYS、過ぎ去っていた日々の記憶を静かに呼び起こし、再生させるような優しい手触りの傑作ピアノアルバム。うつくしきひかり『うつくしきひかり』同様に手元に置いて何度も聞き返したい1枚です。オススメ。