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さくら学院『さくら学院 2011年度 〜FRIENDS〜』

さくら学院のアルバム『さくら学院 2011年度 〜FRIENDS〜』を聞いた。

さくら学院2011年度~FRIENDS~

さくら学院2011年度~FRIENDS~

1曲目、フォークダンス定番曲「オクラホマミキサー」を土台に制作された「べリシュビッッ」が素晴らしい。

タイトルは「ベリーベリーシュビドゥバー」の略で「とにかくすっごく幸せ!」という意味らしい。「シュビドゥバー」という意味のない音に「幸せ」を託す。楽曲では「ドタバタ」「ドギマギ」「あっぷあっぷ」「あっちゃっちゃ」「めっちゃっちゃ」「きゃっはっはっ」といった様々な擬音(?)がメロディーのフックになりながら幸福感を奏でる。

この瞬間きっとすべて おんなじキモチ 分かち合えば シアワセ

という名フレーズが、誰かと円を描くフォークダンスの運動にのっかる名曲だ。続く2曲目の「FRIENDS」はJUDY AND MARYの「Over Drive」のイントロコードに引っ張られるパワーポップチューンで、これまた名曲であります。PVも傑作。

私たち似た者同士だなんて 一緒くたにしたがるけど 
本当はそれぞれ アンテナ立てて ちっちゃなハートみがいてる

という珠玉のラインも聞き逃せない。クラブ活動という形でのユニットの曲も粒揃い。中でも元cymbals沖井礼二のペンによるバトン部 Twinklestarsの楽曲が飛び抜けてよい。
「プリーズ! プリーズ! プリーズ!」

他にもクッキング部 ミニパティの「よくばりフィーユ」は最初期のPerfumeのようなサウンドによく練られた楽曲進行が気持ちいいし、帰宅部 sleepiece による『ちびまる子ちゃん』のエンディングテーマ西城秀樹「走れ正直者」のカバーはCUBISMO GRAFICOの松田chabe岳二がお洒落にキャッチーに仕上げているし、重音部 BABYMETAL「いいね! (Vega mix ver.)」のメタルとラップにまるで菅野よう子メロディーという無茶苦茶な雑多さもパワフルで楽しい。他の収録曲に関してはシングルカップリングの「Planet Episode 008」と「さくら百人一首」のがいい曲なような気もしませんが。
と、まぁとにかく楽曲はなかなかの高品質なのだけど、各ユニット曲の寄せ集め感は否めなく、バラエティには富んでいるのだが悪く言えばまとまりがない。しかし、妙なアルバムとしての説得力がある。これは一体何なのだろうと考えてみると、歌声なのだ。歌唱力は高くはないが、妙に品がありヒラリと舞う彼女たちの歌声がバラついた楽曲の中を貫く核であり、絶対的な個性になっている。この品の高さはよい。小学生から中学生まで限定のユニットでありながら「ロリータコンプレックス」という言葉の呪縛から解放されて、単純にその刹那的な汚れなき美しさが弾け出し、まとわりつく重力からの開放を感じさせてくれるようだ。「べリシュビッッ」「FRIENDS」にラスト2曲「See you...」「旅立ちの日に」の4曲でもって描かれる「ともだち」というコンセプトは、

喜びを他の誰かと分かち合う それだけがこの世の中を熱くする

という往年の名ラインを今、ここに復活させるような美しさがある。それが彼女達の気品のある浮遊感ある歌声と相まってちょっと泣けるのです。これがこのアルバムの魅力ではないでしょうか。