青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

映画三昧

先月あまり観られなかったので週末はスクリーンとDVDで映画三昧でした。
ニコラス・ウィンディング・レフン『ドライブ』を観る。

そこそこに面白かった。しかし、オープニングの面白さからすると尻すぼみな印象。主人公がドライブする理由が明確に意味のあるものになってからつまらなくなった気がする。キャリー・マリガンにもっと車に乗って欲しかった。途中までライアン・ゴズリングキャリー・マリガンの官能的な視線の絡み合いを観て、「あぁ、これは車というのを盗み見る装置として出してきているのか」とうなっていたのですが、そういう映画でもなかった。キャリー・マリガンの赤いチョッキがダサくてかわいくてとても印象的で、「やや、これはこの赤がつまり車をSTOPさせる赤の意味を帯びてくるということか」とうなっていたら、違った。顔なきスタントマンのハリウッドへの逆襲の様相を見せ、悪役の造詣もタランティーノ以降という感じで『デス・プルーフ』が頭にチラ突き出すと、映画は100分程で終わった。いいタイム。





渋谷シネマヴェーラにて山中貞雄『人情紙風船』を観賞。

人情紙風船 [DVD]

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信じられない程に素晴らしくて感動してしまう。オープニングの長屋を捉えた縦の構図の美しさと地面の水溜まり、そしてそこに反映する空を観て監督の格の高さを知る。そして、この長屋で首つり自殺が起きた事が示され、この水溜りが涙であるのだ、と知る。涙は雨となって降り、水溜り、そしてドブ川に流れいく。ラストの紙風船が川へ流れ落ちるその様に人生の残酷なまでの儚さと映画の美しさを知る。1937年の作品に素直に笑える事にも驚いたし、大胆に活劇を見せてくる瞬間にも魅せられた。しかし、河原崎長十朗と中村翫右衛門の狂気と色気は何事だろうか。
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中村翫右衛門イルリメ大倉孝二に似ています。何でも2人とも実生活では共産党に傾倒し、劇団も除名され、中国に亡命、などなどなかなかのお騒がせ人だったようです。
山中貞雄はこれを27歳の若さで撮ったそうな。そして28歳で戦死。「紙風船が遺作とはチト、サビシイ」との言葉を残し。このような傑作をしてサビシイときたか、という感じですが、確かにもっともっと信じられない傑作を撮ったに違いないのだろうなぁ。 監督生活5年間で26本の映画を撮ったそうだが、現在観る事ができるのはたった3本!
丹下左膳餘話 百萬兩の壺 [DVD]

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河内山宗俊 [DVD]

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これ未来の技術でどうにか復元できたりしないものかなぁ。





家に帰って渋谷TUTAYAで借りた(旧作100円になりましたね!)、塩田明彦『どこまでもいこう』と黒沢清神田川淫乱戦争』を観る。

どこまでもいこう [DVD]

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神田川淫乱戦争 [DVD]

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『どこまでもいこう』は団地の映画でした。少年たちが「どこまでもいけないのだ」と気づくまでのこの頃の瑞々しさを今の塩田明彦に求めるのはもう無理な話なのだろうか。黒沢清のデビュー作はもう完全に集中力が切れて何とも言えないが、ゴダールの色使いでゴチャゴチャやっていた。クレジットで知るが、周防正行森達也が出演していたらしい。そして制作にも万田邦敏塩田明彦。立教ヌーベルヴァーグである。





六本木シネマートでシアオ・ヤーチュアン「台北カフェ・ストーリー」を観賞。

いくらホウ・シャオシェンと言えども、やはり制作総指揮なんてのものは当てにならず。つまらなかった。せめて照明くらいはいいのではないか、と思って観に行ってみたけれど、ちょっと画面がデジタル過ぎて(しかもDVD上映だし)のれなかった。映画館によってあんなにスクリーンの質が違うのに料金はわりと一律なのはおかしいと思う。よし、旅に出よう!という航空会社と旅行会社資本の映画。出てくる人がどう観ても生活していない。あのカフェを持ちとあの家に住む人を描いて、「これが街である」とやられても、こちらは何とも言えない顔になるだけだ。年収1500万円代(にしか見えない)人々がお洒落カフェを経営して、挙句自分探しに旅に出る映画に、心打たれるような人が今の日本にいるのか!?と憤慨していたら、どうやらたくさんいるようです。この映画はファンタジーとして消費するべきなのかもしれない。「エドワード・ヤン最後の弟子」という大袈裟な冠のついたアーヴィン・チェンの昨年のデビュー作『台北の朝、僕は恋をする』のがウン倍もましでした。あれにはちゃんと夜の台北を撮る際に地面を濡らす映画的思考が存在していた。しかし、まぁ『かもめ食堂』がもうとにかくたまらなく好きだ!なんて人にはもうもってこいの映画なのではないだろうか。それにしても、六本木シネマートの小さいスクリーンでDVD上映だというのに、1800円も取るというのはどうなのだろうか。




GWにはオーディトリウム渋谷でジャン=リュック・ゴダールの『映画史』全8章を上映するそうです。4時間超えで休憩あり。挑戦したい。『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』等の入門編の上映もあるそうでの要チェックですね。