青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

わっしょいハウス『まっすぐ帰る』

わっしょいハウスの新作『まっすぐ帰る』を観にアトリエヘリコプターへ。

前作『おばけが出現』に腹を抱えるほど笑い、作品に漂うマインドにもいたく共感していたので、期待値の高めの観賞だったのだが、結論から言えば今作は楽しめなかった。しかし、主催の犬飼勝哉もアフタートークに参加した五反田団の前田司郎も「前作よりはよかった」という評価だったので、私の感性も全く当てにならぬものです。個人的には前作の完成度をあえて捨てて、色々なものに挑戦しようとした結果バラバラなまま作り切れなかった作品という印象でした。持ち味であった会話の歪みによる笑いはなりを潜め、時空と身体をずらしたそれはただグタグダした印象で眠くなる。笑いを捨ててまで挑んだのが、物語の拡大や深化もしくはチェルフィッチュ的な何かだったのかもしれないが、見事に敗れ去ってしまったように見えた。ノスタルジーものとしてもいまいち。「水」「消失」といったモチーフはどう考えても練り不足であるように思えたし、そこに手を出すのであれば、「家に帰る」という行為にもっともっと意味を装飾して欲しかった。私たちは最近まっすぐ前を見すえてただただ家に帰る馬の話に涙したばかりなのであります。
前田司郎曰く、前作も含め本に作家である犬飼が見えない、との事。私としては前作『おばけが出現』には、差異や違和感を包み込もうとする彼の少しボンクラで、しかし、優しい意志みたいなものが作品に感じられたのだけども。今作は前述のアドバイスを受けてか、「人間の生理」のようなものに踏み込んでいるのだけど、そういう作家ではないと思うのですよね。
しかし、今作にはおもしろくなりそうな予感がいくつも点在していて、結果今作でそれらは舞台に立ち上がる事はなかったのですが、これから傑作をバシバシ作っていくに違いないのです。もう私も『桜庭ハウス』や『おばけが出現』のテイストを期待するのをやめ、わっしょいハウスの今後の可能性に想いを馳せる事にします。でも、1つお願いしたいのは、探偵役の名前が「江戸川」だなんていう笑いには走らないで欲しいぜ。宮部純子と椎橋綾那のコンビはどう見ても姉妹にしか見えない素晴らしさだった。やはり私は椎橋綾那のゆがみ顔のファンであります。