青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

楠葉宏三『ドラえもん のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜』


これはつまらないです。喜怒哀楽の演出が混線している。仲間がさらわれ緊迫した状況の中、なんとか助けようと「道具は?武器は?」と必死に慌てるのび太に対し、村人は誇らしげに「この村は今までずっと平和だったらか武器なんて必要なかったのだ」とドヤ顔を決める。人間同士のやりとりじゃねぇ。そして、何故かしずかちゃんは「道具がなきゃ何にもできないなんて男らしくない、大嫌い!」とのび太に怒り出す始末である。のび太はちっとも悪くない。


テーマを折り込みすぎてこんがらがっている。てんとう虫コミックス17巻に収録の「モアよ、ドードーよ、永遠に」を元にしており、動物愛護に目配せするものの、かなりおざなり。そもそもあの話は『のび太の雲の王国』で既に綺麗に回収されている。のび太とパパの絆がメインテーマとなるわけだが、その象徴であるカブトムシがおざなりなに扱われている。「家族の事を思うと胸が温かい気持ちになるんだ」と胸に手を当てる仕草を全員が行うという演出の新興宗教感。これまでのドラえもん映画でワースト級である。