青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

アンドリュー・ニコル『TIME/タイム』

アンドリュー・ニコル『TIME/タイム』を観た。

非常に評判が悪いようですが、私はとても楽しめました。

科学技術が進歩したことにより老化現象を解決した近未来、25歳で生体の成長が止まると余命はあと1年という社会が構築されていた。富裕層は寿命を気にしなくていい一方、貧しい人々は寿命を延ばすためにあくせく働き続けなければならなかった

この手塚・藤子チックなSF設定の発想は素晴らしい、しかし脚本の細部が適当すぎる、というのが大方の不満のようです。時間管理局って何だったんだ、ウィルの親父の話はどうなった、バトルがしょぼすぎる、簡単に銀行襲え過ぎ、とか確かに色々雑ですよね、脚本。しかし、アクションが凡庸とか画面がしょぼいというのはちょっとうなずけない。照明もショットもなかなかいい画面だったと思うけどな。カーチェイスも面白かったし。もしかして、凡庸ではないアクションや画面というのはあのチャカチャカ早く動くだけのノーランのやつの事なのか。
そもそも、この映画は格差社会だの管理社会だの時間の尊さだの、そういったものは表向きは色々言っていますけど、ニコルはどうでもよかったんだと思うのですよ。時間マネーなんてのは、ジャスティン・ティンバーレイクアマンダ・サイフリッドを「走る」という運動に誘導するためのマクガフィンでしかないのではないか。腕の命時計が光るのも、夜のビーチで戯れる際の水に浮かぶ緑の光源が欲しかったからに違いないのだ。まさに旬と言えるアクター、ジャスティンとアマンダの走りがとにかくいい。特にアマンダ最高。髪型もメイクもいい。ドレスとハイヒールで走るのも最高。この走るという運動でもって映画は推進していき、不当に阻害されてしまうシステムそのものを(実にあっけなく)崩壊させていくのが、見ていて気持ちよくて仕方ない。全うなアクションムービーだ。あえて時間に絡めて書くのだとしたら、主人公2人はしょっちゅう余命5秒のカップルとかになるわけで、とにかくパトスがほとばしっているのですね。刹那の肯定なわけです。タイムキーパーレオンの最期がしょぼすぎる、と叩かれていますが、あれは彼が時間が限定される事で発されるエネルギーというのを誰よりも確信していたからに他ならない。


おもしろかったけどなぁ。とにかくみんなつまらないって言うのであんまりオススメできねぇ。いや、そりゃまぁ同じく運動と革命の『猿の惑星:創世記』とかに比べると劣るけども。