青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

星野源『フィルム』

フィルム

フィルム

星野源は複雑である。推測だけども、星野源自身もあらゆる需要に混乱していたのではないだろうか。もうどれが本当の自分なのか、演じている自分への違和感。しかし、『フィルム』はそこにふっきれている。一枚皮をはがせば虚構に満ちた日常も、あらゆる需要を演じている自分も、肯定しているように聞こえる。シリアスな現状にユーモアでもって挑む軽やかさもいい。

笑顔のようで 色々あるなこの世は
綺麗な景色 どこまで本当か

電気じゃ闇はうつせないよ
焼き付けるには そう
嘘も連れて 目の前においでよ

どうせなら 嘘の話をしよう
苦い結末でも 笑いながら
そう 作るものだろ
どうせなら 作れ作れ
目の前の景色を
そうだろ

映画のつく優しい嘘のように。苦悩の末に星野源はハッピーエンドを確信していたようだ。