青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

福島県立いわき総合高等学校 演劇部『Final Fantasy for XI.III.MMXI』


いわき総合高等学校は演劇教育がカリキュラムに組みこまれている学校で、これまでも平田オリザ、前田司郎、柴幸男など錚々たる面子を演出に迎えて公演を重ねている。そんな彼らが顧問の先生と一緒になって作り上げたこの作品は今、「福島の」高校生が何を演じなくてはいけないのかという命題を真っ向から引き受け、かつあらゆる批評の介入を許さない隠喩なしのストレートな原発批判の演劇となっていて気持ちがよい。とは言え、脚本はあえて洗練を捨てており、あくまで高校生の演劇の体裁をとっていたので、気恥しかったり退屈してしまったりする所も多々ある。しかし、演じる彼らの「若さ」「青さ」のエネルギーからは目を背ける事ができなかった。だからこそ、この公演の客層が自分を含め大人、もしくは関係者ばかりであったのが残念だ。おじさんおばさんを泣かせている場合ではない、子供たちにこそこれを見てもらい、作品のメッセージなりアティチュードに感化されて欲しい。



上演前にかかるPerfumeDream Fighter」の歌詞。

ねえみんなが言う「未来」ってさ
なん だかんだっで 実際はたぶん
真っ暗じゃなく 光が差して
だけど 普通じゃ まだもの足りないの

被災した子供たちが、これを演じたから素晴らしい、という文脈は極力控えるべきであろう。そうなってくると、家を流された子が演じているから凄い、友人を亡くした子が演じているから凄い、となってきてしまう危険性をはらんでいる。私たちはただ劇中でイヤフォンを分けあって聞いたチャットモンチー1stミニアルバム『chatmonchy has come』にあったような、あの青の蒼さが舞台中に溢れている事にドキドキしていようではないか。

彼らは1月、演出に藤田貴大を迎えてマームとジプシーの『ハロースクール、バイバイ』を上演するそうだ。