青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

五反田団『五反田の夜』


アトリエヘリコプターにて五反田団『五反田の夜』を観賞。「本公演に向けての実験の場的な位置づけで特に何も考えないで作った」といった旨が明記されていたが、ただの習作と呼ぶのを憚ってしまうほど魅力溢れる傑作だったと思う。


割り勘にして半分個ずつに分けようと頼んだ固焼きそばに勝手にお酢を浸すほど入れられてしまい食べられなかった事を泣きながら相談する女性に、「ねぇ、カダフィーって知ってるかな?」と返すジャンプ力とくだらなさをどう言葉で表せばいいのかわからないのが歯がゆい。演劇としては脱力しきっているのだが、あくまで劇中の彼や彼女は真剣であるのがまたおかしい。人間と人間が交わる時に生まれる気恥しさ、これをエンターテイメントに昇華している最高峰は今、2組。騒の東京03、静の五反田団ではなかろうか。前田司郎が座ってボソボソ喋っているだけで1時間半もつと、私は思う。余談だけれども、東京03の『燥ぐ、驕る、暴く。』

をDVDで観賞して、年に2本ペースで公演を打って、このクオリティを保ち続けているかっこよさに敬意を表しつつも、手癖感でまんねりを拭い切れないのも確か。SAKE ROCKのハマケンをゲストに迎えたりするよりも、前田司郎をプロデューサーに立ててみたりしたらおもしろいんじゃないか、なんて思ったりしました


この作品にこんな事を言うのは野暮でしかないのだろうが、これが僕が震災後に見たかった演劇だ。震災後の「絆」みたいなものは嘲笑いつつも、同時進行でみっともなくてじれったい男女の「絆」を愛おしく描いた前田司郎を心底信頼したい。