青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

住所不定無職『トーキョー・ポップンポール・スタンダードNo.1フロム・トーキョー!!!』

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職業安定所ハローワーク)で出会い(ハロー)、アイドル(ハロー!プロジェクト)の話で意気投合したという眉唾なエピソードで結成されたガールズバンド住所不定無職の2ndフルボリュームシングル『トーキョー・ポップンポール・スタンダードNo.1フロム・トーキョー!!!』がすんばらしい。住所不定のホームレス3人は1stアルバム『ベイビー!キミのビートルズはボク!!!』にあった野暮ったさ(あれもチャームではありましたが)を脱ぎ捨て、高円寺を抜け出し、ハイソな渋谷経由で東京タワーを目指す。それはさながらマジキナポップ(MAGIC IN A POP!)を鳴り響かすカーニバル!もしくは青春ロードムービーじゃないか!いざ、この国の大衆音楽へ!

まぁ、何言ってるかよくわからないので、そういうのは置いておいて、とにかくヒダカトオルカジヒデキイルリメなどのプロデュース、ゲスト陣の採用が吉と出たキッラキラのポップナンバーが7曲詰まった名盤に仕上がっております。「フックの作り方」の教科書か、これは。こいつをつんく♂に送りつけて「あんたの子供たちはこんなに立派に育ちましたよ!」と感謝を述べたい。


インタビューで「別に言いたい事は何もないので、メロディー命、響き重視で、美味しい物とか季節とかキラキラした物を適当に歌っている」(要約)、とおっしゃっておりましたが、それが結果的にこの時代に力強いメッセージとして響いている。今現在この国で、「ライフカミンバック!(LIFE IS COMING BACK)」とあっけらかんと歌えてしまう能天気さは強い。あくまで無自覚(を装う、でもいい)がミソだと思う。愛する人、居心地のいい部屋、好きな洋服、美味しい食事、お気に入りの音楽、などに囲まれた生活が単純に「幸せ」とイコールで結ばれていた状態を我々は取り戻さねばならぬ。ジョン・レノンより想像したりして!

戦争に反対する唯一の手段は、各自の生活を美しくして、それに執着することである

という吉田健一の引用、ひいてはピチカート・ファイヴの引用の引用で締めたい。