青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

四つ子(前田司郎、岩井秀人、松井周、江本純子)『四つ子の宇宙』

四つ子『四つ子の宇宙』をアトリエヘリコプターにて観賞。

前田司郎(五反田団)、岩井秀人(ハイバイ)、松井周(サンプル)、江本純子毛皮族)、それぞれ劇団を主宰、演出しており、同時に役者でもある4人が一堂に会して芝居をすると聞き、まぁお楽しみ会的なオムニバス公演を想像していたのだが、見事に裏切られた。エチュード(即興劇)で秀逸な会話劇を楽しませてくれながら、しっかりとしたSF劇を展開していた。と言っても私は宇宙SFモノなんて、藤子作品(例えば「イヤなイヤなイヤな奴」とか)、もしくは萩尾望都『11人いる!』程度しか嗜んでいないので本格SFファンも満足できる内容なのかはわかりかねます。そういえば、ラーメンズの「アトム」とかも思い浮かべたな。



任務で40年間の宇宙旅行に飛び立った4人は、30年間をコールドスリ―プで過ごし、船の運航点険当番を交代で行う為、10年間を1人で過ごす事になる。こういったシチュエーション物は観客に「自分だったらどうするだろう」と考えさせたら勝ちだ。10年間を1人宇宙で過ごす、この途方もない窮屈さをベースに作家4人の底意地の悪さと少しの優しさが加わって深みのある舞台になっておりました。4人の作家のエゴが強烈にぶつかり合いながらも綺麗な1本の作品となっている様はちょっとした奇跡だ。こういうオールスター物がよかった試しはほとんどない気がするので。岩井秀人の役者としての凄味と前田司郎の天性のかわいさと、まともそうでいて実は1番頭おかしい松井周が堪能できました。



アフタートークもなかなか聞き物。特に印象に残っているのは江本さんがぶっこんだ「そんなジプシーみたいな暮らし続けて、マーム心配」というマームとジプシーいじりに、岩井さんが「本気で意識してると思われたら恥ずかしいし、江本さん見てないじゃん!」ってやりとり。そういえば、この4人の下の世代は劇団主催して作家と役者を兼ねている人が少なくなる気がするな。なんででしょ。とにかく毎公演セリフが違う、くらいの勢いらしいのでもう1度見たい。まだわりとチケットに余裕があって、当日でも入れるらしい。もったいない。




「イヤなイヤなイヤな奴」収録のSF異色短編集の文庫。私はこのSF短編を収録した文庫4冊を高校時代に読んでで藤子F先生への心酔の想いを強くしましたよ。
ラーメンズ第12回公演『ATOM』 [DVD]

ラーメンズ第12回公演『ATOM』 [DVD]

ラーメンズの約10年前の第12回公演『ATOM』の中の「アトム」もコールドスリープものの傑作でした。『夏への扉』からのインスパイアでしょうか。ほのかにSFが香っていたり、この頃のラーメンズが1番脂がのっていると思う。