青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

フジロッ久(仮)『コワレル』


所沢航空記念公園にて開催された常夏フェスのトリを務めたフジロッ久(仮)のライブが素晴らしかったのだ。バンド名も意味わからないので敬遠していたのですが、これは何事かと思うほどよかった。


メンバーのルックスがイカれていた。全身ピンクタイツ、ももクロTシャツに黄色いしおりんハチマキ、野比のび太ばり短パンにグラサン、半裸長髪ギタリスト、パンクかぶれのエモい人、紅一点メンバーは頭にタオルを巻いて何やらずっと叫んでいる。鮮やかなまでのはみ出し者の体現。そいつらがいっせーのせで大きな音を鳴らして、その音に合わせて同じようなはみ出し者達が狂ったように踊り暴れる。この圧倒的なまでの非生産的なエネルギーの無駄使い!美しいと思った。きっとそのエネルギーの無駄使いによって、彼らはまたクソみたいな毎日を生きていくエネルギーを得ているのだろう。回り回るエネルギーの循環である。


暴論だが、銀杏BOYZとかもういらないじゃん、なんて思ってしまう。なるほど、調べてみたらフジロッ久(仮)銀杏BOYZの2005年のツアーに抜擢されて名をあげたバンドらしい。本人たちからしたら銀杏BOYZの名前を出されるのはウンザリなのかもしれないな。とは言え、今年初頭に出たファーストアルバム『コワレル』は銀杏BOYZ経由であるを隠す気がない名盤だ。

コワレル

コワレル

核となる曲が9分台と長尺なとこまでそっくりだ。その「西尾久25時」「夜の焼ける音」「はたらくおっさん」はアホみたいに名曲。他の曲もよく練られている。「フジロッ久(仮)の(仮)のテーマ(仮)」「アナーキー・イン・ザ・あらかわ」「P.U.N.K」「勝手にスゥイング」・・・どれも初期衝動がそのまま音になっていながら、しっかりとしたソングライティングでまとめあげられていて最高なのだ。銀杏BOYZに間に合わなかった今の10代に捧げたい。

とりあえずこれだけ聞いておこう。これぞ、キラーチューン。「あいどんわなだい」以来の衝撃。


ライブでも無茶苦茶やっているようで、実に間口が開かれている。そこが凄い好き。あんな汚い音なのに。航空記念公園のらライブでは子連れ夫婦や老夫婦がどんどん会場に集まってきていた。車椅子に乗った高齢のおじいさんはリズムまで刻んでいた。フジロッ久(仮)のビートが世を埋め尽くす日は来るのか!?