青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

昆虫キッズ「裸足の兵隊」~ただいま言えたらときめく進化さ~


昆虫キッズはいつでも僕らにファンタジーをくれるんだけど、ついでにそのファンタジーの薄皮をひきはがして裏側も見せつけてくる。ゾンビや魔王や年老いたシンデレラや裸足の兵隊さんが出て来て、そんなもんはニセモノだ、と叫び出す。するとファンタジーはハリボテと化してしまう。しかし、そこまで見せた上で、なおそれはファンタジーなのである。それを可能にしているのが昆虫キッズとリスナーが共有する美しい嘘だ。2面性を暴き出し、それらの境界を曖昧にする力が昆虫キッズの音楽にはある。初のシングルとなる「裸足の兵隊」は、心かきむしるような高橋翔のリズムギター、センス溢れる佐久間裕太のドラミング、のもとなつよのキュートなコーラスと凶暴味あふれるベース、飛び道具として殺傷力抜群の冷牟田敬の凍るようなギターワーク、と昆虫キッズの様式美を疾走感と共に味わえる最高のナンバー。

ほら見ろ 太陽さんはあなたの影作ってくれる

歌われるのは、やはり2面性の暴露と融和なのである。

このPVのラストは、死体が生き返る、なのか、死体役の人が素に戻ってジャレてるのか、がわかりづらいので、なんとも言い難いのだが、光源体の置き方や、4人が同一フレームに並列に並ぶ瞬間や、フルサイズ画面での横移動など、多幸感と解放感に溢れる作りで映像として素晴らしい。何より4人が被写体として美しい。かっこいいバンドです、昆虫キッズ。