青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

長崎俊一『少女たちの羅針盤』

長崎俊一少女たちの羅針盤』を観た。

かなりよい。伏線の張り方は滅茶苦茶で破綻しているし、素晴らしい会話劇があるわけでもない。優れたミステリーの脚本だとはとても言えないのだろう。しかし、過去、現在、劇中劇が入れ子構造になり、浸食していく様が圧巻なのだ。*1同じような構造の柳田光男監督の傑作『カミュなんて知らない

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を彷彿とさせる。また、あの作品同様に画面が圧倒的に素晴らしいのだ。この素晴らしい撮影は誰だ、と思えば北野映画でお馴染の柳島克己ではないか。カメラを引く決断の素晴らしさ。この画面の美しい光とスーッと伸びていく道だけで、「青春の美しさと脆さが〜」のような言葉は用無しになるのだ。劇団の練習場である廃アパートに差し込む光は何事なのか。頻出する4人が横並びなる決めカットのかっこよさに何度痺れたか。


この映画で犯人探しやトリック暴きに一喜一憂したいのであれば、映画館に足を運ぶのはやめておいたほうが賢明である。この映画は、才能が阻害、抑圧されてしまう事への復讐の物語である。そして、「他者の才能を認める」という事が物語を動かしていく。そういった類の映画だ。そうなると、この映画の

ねぇ、殺すってどんな気持ちだった?

というキャッチコピーも文字通りに受け取ってはいけない。



サブカル少女成海璃子が驚くほどのガチムチぷりで驚く。走るとバインバインしてました。けど、さすがに事務所に怒られたのか、番宣の様子を見たら別人のように痩せてらっしゃいました。成海璃子の最後のガチムチを拝めるチャンスかもしれません。称賛されている本作での演技ですが、いわゆる鈴木杏仲里依紗系譜のソレだなぁ、というくらいの感想です。忽那汐里草刈麻有森田彩華とみんなかわいいです。忽那汐里草刈麻有、更には黒川智花も出ているので金八フリークはニヤリでしょう。しかし、あの廃ホテル。よく見つけてきましたね。なんでも福山市の協賛だそうだ。『魔法少女を忘れない』の福岡市といい、地方都市協賛でナイスなロケーションとそこそこの資金を得て、いい邦画が生まれているようです。しかし、どちらも出演者のアイドル、女優ファンのおっさんしか劇場に足を運んでいない、という憂うべき状況が。もったいないです。

*1:最終的には現在パートそのものも劇団羅針盤の作品という事になる。