青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

シャムキャッツ『渚』


覚悟しておいたほうがいい。もし、これを読んでいるあなたがまだあまり音楽に興味のない若者であったりするならば、人生を変えてしまうような1曲だ。ギターが鳴り出したその瞬間から心を掴んで離さないキッラキラのキラーチューン。Beach boys、Animal CollectiveTahiti 80Pavementスピッツサニーデイ・サービス、またVampire Weekendなどの昨今のインディーロック周辺、彼らが愛聴しているに違いない、そして僕らも大好きな音楽たちがシャムキャッツの音として浮かび上がる。風もある、波もある、そして、むせ返るような甘く美しい時間がある。鳴りやまないギターフレーズが甘い刹那を想わせる。時間は過ぎようとしている。その甘く美しい時間を彼らは陶酔や逃避や諦念としては歌わない。彼らが歌うのは

これから何をしようが勝手だよ

というあっけらかんとしながらも強い決意だ。全ての若者はこいつをリュックサックに詰め込んで、バスにでも乗ってどこか遠くに行ってみるといい。あんまり若くもないが、僕も今度そうしてみるよ。




シャムキャッツはこのシングル(1000枚限定!)でインディーシーンにおいて頭ひとつ抜けるだろう。この曲は彼らにとってのくるりにおける「ワンダーフォーゲル」、スピッツにおける「青い車」のようなものになるに違いない。ceroに続いてシャムキャッツもきた。この国の音楽シーンは変わろうとしている。