青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

芝山努『映画ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』

『映画ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』をついに観直すことができた。渋谷TSUTAYAにてビデオを発見。

まる子と絵描きのお姉さんの交流の他、様々な音楽による音楽パートが見所となっている。原作者であるさくらももこはディズニーの『ファンタジア』や、ビートルズの『イエローサブマリン』など、アニメーションと音楽が融合した映像作品に感動し、つねづね音楽シーンでの見せ場を盛り込みたいと考えていたという。ちなみに映画に使用したセルの枚数は約6万枚で、通常の3万枚を遙かに超している。本作品は、数多くの楽曲を使用している関係(著作権法)からかDVDが発売されておらず、2010年現在は廃盤となったVHS、およびLDでしか公式に視聴する手段はない。

監督はドラえもん大長編シリーズでおなじみの芝山努。音楽パートの演出に大きくあの『マインドゲ―ム』の湯浅政明が。そして、使用楽曲は

大滝詠一「1969年のドラッグ・レース」
細野晴臣「はらいそ」
笠木シヅ子「買い物ブギ」
たま「星を食べる」

などなど。再見してみて、この傑作をもっと世に広めたいという思いでいっぱいになる。音楽パートでの湯浅政明のサイケ感の冴えっぷりももちろんなのだが、まずもって脚本が素晴らしい。さくらももこは泣かせの作家である、という認識が個人的に強いのだが(『ちびまる子ちゃん』単行本収録の短編の巧さ!)、ここでもそれが冴え渡っている。終盤クライマックスのまる子のジャングルジムに登り見つめるシークエンスの素晴らさ。



中盤で大川先生は言う。また、このシーンでの階段、踏切、夕日での影の落ち方なんかもとてもよい。

別れてもずっと忘れない。。そうねぇ。
そういうことって人が生きていく中で何回もあるねぇ

この映画を見て私が口ずさんだ歌は

失ってしまったものは
いつの間にか 地図になって
新しい場所へ 誘ってゆく

歓びとは、誰かが去る悲しみを
胸に抱きながらあふれた
一粒の雫なのだろう

と歌われる、くるりの「JUBILEE」だ。幾度となく別れが繰り返されていくLIFE。しかし、それでもなお人生が美しい理由。忘れないこと。そして、そこにはいつも歌がある。歌と記憶。とても美しい映画です。みんなで盛り上げてDVD化させたいです。