青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

cero『WORLD RECORD』


cero待望の1stアルバム『WORLD RECORD』が期待を裏切らず本当に素晴らしいのだ。

WORLD RECORD

WORLD RECORD

Amazonでも在庫切れ、なんとタワレコでも売り切れ店舗が出ているそうだ。波が来た、新しい波だ。新人バンドの1枚目がここまで盛り上がっているのって本当に久しぶりじゃないかしら。いつ以来?むしろ記憶にない。もちろん、Twitterによって反響をダイレクトに感じられているからというのもあるのだろうけど。まぁ、とにかく素敵なレコードなのだ。


名盤とかレコードとかもうちょっと死語になりつつある懐かしい言葉でもって賞讃したい。かといって古めかしい音楽なのか、というとそんな事はない。これは僕らのための最新のシティポップだ。細野晴臣鈴木慶一といった巨人たちに挨拶し、フィッシュマンズ小沢健二電気グルーヴかせきさいだぁなんかと戯れ、その元ネタの海の向こうの音楽に思いを馳せたりして作られた音だ。それは東京という街の音楽史であり、僕らのリンスニング体験そのものだったりする。「そうそう、音楽だけじゃないよな」なんて言って映画や文学の香りを目いっぱい吸い込んで毎日のことを歌っていたら宮沢賢治になっていた。それがceroだ。


いつも乗っている中央線が銀河鉄道になるような瞬間は確かに存在する。


「全てがあって、何にもない」「みんながいて、誰もいない」そんな東京の価値観やしがらみが転覆し、無化されるような甘やかな瞬間。たとえば、大停電、大通りに狐の嫁入り、真夜中に空を飛ぶペンギン。そう、想像力だ。それさえあれば、中央線も銀河鉄道、いつもの街も衛星都市だ。ceroの音楽を聞こう。これは日常に抵抗する力だ。

大停電の夜に 君は手紙書く手をとめ
窓を開けて目を閉じ 街のザワザワに聞き入る

あまりに完璧にラインだ。ついに出てきた僕らの「ナイト・クルージング」、ceroは僕らのバンドだ。