青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

cero『WORLD RECORD』

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待望の1stアルバム『WORLD RECORD』が期待を裏切らず本当に素晴らしい。Amazonでは在庫切れ、タワレコでも売り切れ店舗が出ているそう。国内の新人バンドのファーストアルバムがここまで盛り上がっている状況というのは本当に久しぶりじゃないかしら。いや、むしろ記憶にないもちろん、Twitterによって反響をダイレクトに感じられているからというのもあるのだろう。そういったソーシャルネットワークさえも味方につけた新しい世代の一撃。それがかくも素敵なレコードであったことを祝福しよう。


これは最新のシティポップだ。細野晴臣鈴木慶一フィッシュマンズ小沢健二・・・東京という街の音楽史の系譜に名を連ねながら、スフィアン・スティーブンスといった海外のインディーアーティストらとの共鳴を響かせる街の音楽。その折衷性は、僕らのリスニング体験そのものだ。「そうそう、音楽だけじゃないよな」なんて言って映画や文学の香りを目いっぱい吸い込んで毎日のことを歌っていたら宮沢賢治になっていた。そんな混じり合いがceroだ。


いつも乗っている中央線が銀河鉄道になるような瞬間は確かに存在する。全てがあって、何にもない。みんながいて、誰もいない。そんな都会の価値観やしがらみが転覆し、無化されるような甘やかな瞬間。たとえば、大停電、大通りに狐の嫁入り、真夜中に空を飛ぶペンギン。重要なのは想像力だ。それさえあれば、中央線も銀河鉄道、いつもの街も衛星都市に。ceroの音楽を聞こう。これは日常に抵抗する力だ。

大停電の夜に 君は手紙書く手をとめ
窓を開けて目を閉じ 街のザワザワに聞き入る

あまりに完璧にライン。ついに出てきた新世代の「ナイト・クルージング」である。ceroは、誰のためでもなく暮らしてきた僕らのバンドだ。