青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

木下美紗都『海 東京 さよなら』

WEATHERの主宰者である音楽批評家の佐々木敦はこのCD-Rをいたく気に入り、彼女の作品をリリースすることを決めた。坂本龍一主宰のオーディション番組でも認められたその才能は、詞や曲を自作するに留まらず、アレンジから録音、ミックスまで殆ど一人でやり遂げて、1枚の素晴らしいアルバムを完成させた。彼女の名前は木下美紗都

2007年に発売された『海 東京 さよなら』

海 東京 さよなら

海 東京 さよなら

を今更聞いて、もう虜なのである。何がここまで僕を魅了するのか、よくわらないのだが虜なのである。「ボーイ・ミーツ・ガール」という曲がいい。

君の街は朝の来ない街だ

遅れてきたぼくらに足りないのはキック・アンド・スネア

独特の、そして素晴らしい言葉のセンスで紡がれるのは諦念だ。でも、こうも歌う。

いつかはみんないなくなってしまうから
立ち止まって話をしよう とても長い話を

そして、上がりきらないメロディ、進行、歌声。僕たちが暮らしていく日々の中で、声を張り上げたり、叫んだりする感情は何%を占めるんだろう。うーん10%にも満たないかもな。ならば、僕はこういった音楽を聞こうと思う。そして、これは都会に住む人の歌だ。人はたくさんいるんだけど自分だけの場所を持っている人の歌。「世田谷の夜」という曲があるから、というわけではないのです。彼女にフィッシュマンズのことを少し重ねて聞いてみてもよいでしょうか。そうそう、今週発売の『瀬田なつき×木下美紗都 SOUNDTRACKS』

瀬田なつき×木下美紗都 SOUNDTRACKS

瀬田なつき×木下美紗都 SOUNDTRACKS

も素晴らしいのだ。基本インストなんだけど、名曲「彼方からの手紙」も収録。インスト曲は時にレイハラカミを思わせる音づくりだったりして、こちらも決して上がりきることがない。しかし、「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」サントラの恋してちゃってる部分の多幸感はどうした。たまらない。オススメです。