青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

今泉力哉『たまの映画』

今泉力哉『たまの映画』を見てきた。たま。たまの映画です

1990年、バブル絶頂期。突然スターダムに押し上げられた、たまというバンドがいた。個性的なルックスと不思議な唄。日本中をとりこにした彼らは、次第にメディアから姿を消した。それから20年、「いま」。メンバー柳原の脱退、たまの解散。時は流れ、音楽を取り巻く環境も大きく変った。そんな中でも、自分の道を歩き、音楽を奏で続けている彼らの変らない生き方がそこにはあった―。

そう、あのバンドのたまです。たまは1発屋のイメージが強い。けど、音楽ファンには日本のビートルズだ、ピンクフロイドだ、とかそういうよくわからない絶賛を受けている。「さよなら人類」を作って歌った柳原さんは脱退して、その後に残ったメンバーは『いなくてもいい人』というアルバムを作った、みたいなゴシップ的な情報をロッキングオンあたりに植えつけられた人にこそ(例えば僕)見て欲しい。映画を見ていて感じたのは、上記の『いなくてもいい人』の件は嘘っぱちだなぁってこと。3人とも強く脱退した柳原さんを求めているのを感じた。


1番柳原さんと悶着があったような雰囲気の知久さんですら

あの人の最高の声に合わせてハモるのが何よりだった
もし、ヤナさんと今一緒に歌えと言われても泣いちゃって無理

みたいな事を漏らしていた。たまは素晴らしいコーラスグループだったんだ。しかし、ベースの滝本さんかっこいい。声も素敵。人柄も素晴らしいんだろうなぁ、と言うのが画面から漂っておりました。


「たまのランニング」こと石川さんは完全にやばいあっち側の人だと思ってたけど1番自身を俯瞰できているエンターテイナーなのだ、ということに気づかされる。劇中で彼が歌う「夜の牛のダンスを見たことがあるか」は圧巻。そして、石川さんが知久さんが参加してい大所帯バンドPascals

これが素晴らしい。全く存じ上げなかったのですが、フランスなどでは人気者だそうですね。


『たまの映画』はやりたいことだけをやって死んでいく人たちのドキュメンタリーだ。生きていくのではなく、死んでいく。それがたまのメンバーに共通しているバンド観、人生観なのではないか。メディアが光を当てなくなったたまに映画が光を与えた素晴らしい作品だ。