青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

高畑勲『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』

日本アニメーションが1979年に放映したテレビアニメ全50話のうち第1〜6話を、89年に高畑勲監督が自ら編集し100分にまとめたもの。

傑作。89年に編集したものを何故、今、公開なんでしょうか。その答えはアン・シャリーがこの現代に必要とされるヒロインだから。悲惨な生い立ちのアンが、そんな現状をやりぬくために身に付けたのが想像力。リンゴの並木道を「よろこびの白い道」、池を「きらめきの湖」などと名付け、雄弁に想像して、楽しむ。その想像力には限りがなく、高らかに日常を飛び立つ。また、アンは過剰なまでに刹那に敏感だ。「終わってしまうこと」に怯えながらも、想像力で日常と戦う彼女こそ、この現代に必要なヒロインなのではないでしょうか。そしてとにかく喋る、喋る。見事なまでの自分語り。涼宮ハルヒどころじゃありません。世界からはみ出し過ぎていて、涙腺を刺激します。