青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

リー・アンクリッチ『トイ・ストーリー3』


2010年のベストムービーだ、ともう7月にして言いきってしまう。言いきってしまいたい。それどころか、10年代の映画の指標となるような傑作。最高のビタースウィートアクションム―ビーだ。冒頭のアンディによる西部劇、宇宙船などが入り乱れる空想アクション劇が、これは映画なんだ、と雄弁に物語る。そのアクション劇が終わってからのシーンで僕はもう涙する。終始見せるウッディの表情。希望と諦観の入り混じったこの複雑な表情の表現は現代CG技術の一つの頂点ではないだろうか。


トイ・ストーリー2』で発された

アンディの成長を止めることは誰もできないのさ

というプロスぺクターの台詞通り、アンディは大人になっていた。おもちゃのウッディ達にとってそれは、別れ、いや"死"を意味する。そう、『トイ・ストーリー3』には濃厚に死の匂いが漂っている。それゆえのあのウッディの表情なのだ。かと言って、この映画がどんより暗いものかと言えばそんなことは全くなく、バスやポテトヘッドは見事にコメディアクターとしての役割を果たしており、劇場は子供たちの笑い声に包まれていた。子供たちの笑いに包まれた映画館と言うのは実に幸せなものです。


見事なまでのストーリー進行、脚本。『トイ・ストーリー3』を作ると、聞いて誰がこんな傑作を予見できただろうか。ピクサーはそれ平気でやってのける。心酔します。なんでも今作の脚本は初めての外部発注で

の脚本家マイケル・アーントが務めているそうな。


僕はとにかく上映中ずっとハンカチを手放せなかったのですが、中でも誰もが認めるベストシーンはラストのアンディによるおもちゃ達の紹介シーンだろう。

僕たち観客の知ってるいるウッディと、アンディにとってのウッディ像に寸分の狂いもなかったという事実。ウッディからアンディ、アンディからウッディ、双方からの視線を共有できてしまう我々観客が、あれに耐えられるわけがないのだ。このおもちゃの物語をこのような形で結んでくれたピクサー。ありがとうございます。ウッディは僕の永遠のヒーローです。