青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

エズラ・ジャック・キーツ『ゆきのひ』

雪が積もった日の幼き高揚感を瑞々しく捉え切った永遠のマスターピース。足跡をつけて歩く、雪の小山を滑り降りる、木に積もった雪を落とす、寝転んで手足を動かす(Snow Angel)・・・いつもと違う白銀の街でのはしゃぎ方がここにはすべて詰まっている。と…

坂元裕二『anone』4話

私の名前はアオバ 苗字はない この世に生まれてこなかったからだ 幽霊っていうのとは少し違うけど まぁ そう思ってもらえるのが一番手っ取り早い いきなりの”幽霊”の登場である。低視聴率のテコ入れとして、急遽挿入されたであろう「3話までのダイジェスト」…

松本壮史×三浦直之『それでも告白するみどりちゃん』

『それでも告白するみどりちゃん』というなにやら画期的に新しいドラマが始まった。そのドラマは、テレビの地上波放送でなく、ローカル放送でもなく、ニコニコ動画でもGYAO! でもなく、カルチャー動画メディア「lute/ルーテ」のInstagram 上のStoriesにて展…

野木亜紀子『アンナチュラル』3話

3話についてしっかり書く余裕がないまま、4話の放送日になってしまった。無念。今回は軽いテイストでご勘弁頂きたい。3話は裁判所を舞台とした法廷ものであった。演出は塚原あゆ子から竹村謙太郎にバトンタッチ。編集のスピード感はグッと抑えられ、室内撮影…

ルドウィク・J・ケルン『すばらしいフェルディナンド』

ルドウィク・J・ケルンは日本ではあまり評価されていないのだろうか。ポーランドの児童文学作家なのだが、Wikipediaにも項目は存在しない。日本語に翻訳されている作品は3作品。その内の1冊『ぞうのドミニク』は福音館で文庫化しており現在も入手可能だが、…

最近のこと(2018/01/20~)

Lampの4月に発売されるニューアルバム『彼女の時計』よりリード曲「Fantasy」のMVが公開。ワンマンのチケット買いそぶれてしまったが、アナログ盤は絶対にゲットしたいものです。とてつもなく寒い日々が続いておりますが、すでに花粉は飛んでいて、コンビニ…

坂元裕二『anone』3話

突然の拳銃の介入、3話はこれまで以上にダーティーで穏やかではない。しかし、シリアス一辺倒というのでなく、細部のやりとりはコミカルさで彩られてもいる。川瀬陽太が演じる西海隼人という複雑な人間の存在が、物語を混乱させているのだ。モデルガンを改造…

シムズ・タバック『ヨセフのだいじなコート』

古本屋で見つけて一目惚れした絵本だが、2000年にコールデコット賞(アメリカの絵本界における権威)を受賞しており、すでに多くの人々の記憶にマスターピースとして根付いている作品。「この絵本は、水彩絵の具、グワッシュ、色鉛筆、インク、そしてコラー…

野木亜紀子『アンナチュラル』2話

圧巻の完成度を誇った1話が沸点かと思いきや、続く2話もなんら緩むことなくおもしろい。恋はスリル、ショック、サスペンス(©愛内里菜)とでもいうようなエンターテインメント性を保ちながら、芯をくった人間ドラマが並走している。坂元裕二『anone』と野…

坂元裕二『anone』2話

<社会の理からはみ出す> 1話のエントリーで孤児とも天使とも形容した今作の登場人物たちは、つまりは社会というシステムからの追放者である。ネグレクトされ”家なき子”としてネットカフェで寝泊まりする辻沢ハリカ(広瀬すず)。フランチャイズチェーンに…

最近のこと(2018/01/09~)

本日発売の『美術手帖』2月号「テレビドラマ特集号」に畏れ多くも寄稿しております。このブログの「最近のこと」を熱心に読んでくださっている方、私が妙に坂元裕二の過去作ばかり観て、あげくに体調を大幅に崩している時期があったことを覚えておりませんで…

野木亜紀子『アンナチュラル』1話

うおー。思わず声が出てしまうほどにおもしろいではありませんか。脚本、役者、演出、編集、劇伴、衣装・・・あらゆる要素が90点越えを叩き出す超優等生の登場である。脚本は野木亜紀子。『空飛ぶ広報室』(2013)、『重版出来!』(2016)、『逃げるは恥だが…

坂元裕二『anone』1話

坂元裕二の新作ドラマ『anone』の放送がついに開始された。ジャンルレスゆえに、現段階ではまだまだ漠然とした印象だが、イメージを織り重ね、ストーリーを形作っていくその筆致はやはり郡を抜いている。1話における白眉は、偽札を巡る歪なカーチェイスで3…

最近のこと(2017/12/27~)

youtu.be ロロ+EMC feat. いわきっ子による「ミーツミーツミーツ」のライブ動画が公開された。本当にいい曲。2017年に1番素敵なメロディを書いてきたのは江本祐介に間違いなし。島田桃子さんのラップ(というかボイス)、やはり特別。ロロの新作『マジカル…

水曜日のダウンタウン「フューチャークロちゃん」

昨年の12月27日に放送された『水曜日のダウンタウン・2時間SP』をご覧になっただろうか。あれを観ずして、2017年は終われないというような大作である。嘘ツイートをまき散らす実態を暴露した8月の「リアルクロちゃん」あたりまでは気軽に笑い飛ばせていたク…

2017 BEST MUSIC 20 

例年30枚だったのがついに20枚に。移動中にラジオを聞く時間が増えたからかもしれない。『オードリーのオールナイトニッポン』と『ハライチのターン』に溢れんばかりの感謝を。ライブに行く回数はグッと減りましたし、音楽に関する文章を書く能力のなさを痛…

ミツメ『エスパー』

なんでもわかりあえてしまう2人。そんな”誰か”と出会ってしまうこと、それは生きる喜びを見つけたに等しい。しかし、そんな関係を「エスパー」と名付けた瞬間に、世界はなにやら不穏な気配を帯び始める。『ストレンジャー・シングス』への明確なオマージュが…

最近のこと(2017/12/11~)

メリークリスマス。『さむがりのサンタ』と『ホームアローン』で培ってきた、暖炉の暖かさに例えられるような、素敵なクリスマスの感触を取り戻したい。「イヴのラブホは満室」「リア充、死ね」といった双方の価値観がなくなった世界で、敬虔な気持ちで過ご…

軽井沢旅行記2017冬

年内まで有効の会員制のリゾートホテルのチケットをもらったので、せっかくなので泊まりに行くことにした。軽井沢の山奥のホテルである。しかし、会員制のホテルというのはよくわからない。チケットさえあれば会員のどんな遠縁であろうとも泊まれてしまうら…

宮藤官九郎『監獄のお姫さま』最終話

最終話、ここぞとばかりに時系列をシャッフルして事の真相が語られていくわけだけども、「計画は失敗に終わった・・・と見せかけて、実は成功でした」というような視聴者への揺さぶりは、どうにも下品に感じる。決定的な証拠を手にして、それなりの勝算があ…

長濱ねる1st写真集『ここから』

<Aパート> 1日あればいいの 人生には 1日あれば 大事な大事な1日があれば これは、坂元裕二が脚本を手掛けたテレビドラマ『Mother』(2010)において、田中裕子が発した台詞。長濱ねる(欅坂46)の1st写真集『ここから』があまりに眩くて、切なくて、胸…

最近のこと(2017/12/04~)

youtu.be ミツメの新曲「エスパー」が狂おしいほどに好き。バンドがこれまでに培ってきた数多のストロングポイントがギューっと集約されたような曲だ。そもそも「エスパー」というタイトルがいいし、新しくなったアーティスト写真だっていい。何もかもいいぞ…

渡辺梨加1st写真集『饒舌な眼差し』

器と魂の不一致。グループ屈指のパーフェクトビューティーなルックと、幼児のような魂。神様のうっかりミスとでも言うようなその”ズレ”が渡辺梨加(欅坂46)というアイドルの最大の魅力ではないだろうか。物言わぬアイドルである彼女が、心の底で何を考えて…

ドムドムバーガーというブルース

<A面> ドムドムバーガー、その響きだけで胸がトクンとなってしまう。あの空間こそ、私たちの”かつて”という気がする。1970年に出店した「ドムドムバーガー ダイエー原町田店」が日本で最初のハンバーガーショップである。これは『トリビアの泉』といったテ…

宮藤官九郎『監獄のお姫さま』8話

宮藤官九郎が描くテレビドラマはいつだって、社会からはみ出した者たちを描く。その”はみだし”は土地、学歴、年収、恋愛経験といった普遍的なコンプレックスに起因するものはもちろんだが、とりわけプロデューサー磯山晶と組むTBS制作クドカンドラマが常に主…

最近のこと(2017/11/27~)

月半ばに体調を崩してしまい、11月はほとんどブログを更新できなかった。ブログを開始してかれこれ7年ほど経つのですが(驚)、ここまで書かなかったのは初めての経験で、ちょっと焦ってしまった。どう書けばいいのか、わからなくなるのだ。文章というものは…

売野機子『ルポルタージュ』3巻

この3巻にして、売野機子の『ルポルタージュ』という作品は特別な領域に突入したように思う。まず、簡単にあらすじを説明しておこう。作品の舞台は2033年、そう遠くない未来の日本。90年代の恋愛ドラマブームの影響で恋愛結婚をした世代は、不仲・DV・セック…

最近のこと(2017/11/01~)

youtu.be Marker Starlingの新しい音源『Anchors&Ampersands』から。セルフカバー&カバー(ネッド・ドヒニーなど)をコンパイルした編集盤のような感じで、アルバムとしての緊張感のようなものには欠けるのですが、スムースでナイスなポップソングが詰まっ…

ロロ×キティエンターテインメント『父母姉僕弟君』

一度生まれた”好き”は消えない 故に、かつて発生した感情は、確実に未来へと繋がっている。古今東西のあらゆるボーイミーツガールを摂取した三浦直之が辿り着いたこの信念は、この『父母姉僕弟君』においては、”生まれることのなかった”子どもさえをも舞台の…

ザ・ダファー・ブラザーズ『ストレンジャー・シングス』シーズン2

どこか世界から虐げられたような者たちが、悪戦苦闘しながらも、彼らなりの”正しさ”でもって、物事を良き方向に物事を推し進めていく。そんな物語にたまらなく惹かれてしまう。これはもう、世界中の”子どもたち”がそうであるように、スティーヴン・スピルバ…