青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2016/08/08~)

はぁ。どうしようというくらいに辛いですね。「この瞬間(とき)、きっと夢じゃない」とか聞いてメソメソと泣いてます。

苦しみ悩み続けてた 何度も諦めようとした
それでも歩いてきたこの道は たった一つの僕の夢さ


立ち止まった雑踏は どこか似たような僕らを包んだ
ふざけあった時間は もう戻らなくて 言葉だって 届かない
あの日君が流した涙も 僕ら一緒なら ほら笑い顔
僕はあの日 霞む空に また「強くなるさ」と誓った

うおー、別にそこまで好きな曲じゃなかったけども、泣ける。茶番でも何でもいいから、「やめへんでぇ~」ってどんでん返ししてくれぬものか。SMAPは終わらない!なのでしょう。



最近のこと。月~火はほぼ記憶になし。何していたかなぁ。Huluで金子修介ガメラ2 レギオン襲来』(1996)と『ウルトラマンセブン』をパラパラと観たのは覚えている。

ガメラ2 レギオン襲来 [DVD]

ガメラ2 レギオン襲来 [DVD]

DVDウルトラセブン 全12巻セット

DVDウルトラセブン 全12巻セット

シン・ゴジラ』で盛り上がっている人には平成ガメラシリーズも観て欲しい。傑作であります『ガメラ2 レギオン襲来』は今年でちょうど20周年なのだ。自衛隊ものとしてはこっちのが『シン・ゴジラ』より上だ。ゴジラは劇場で観た事なかったのですが、ガメラは毎回スクリーンで観ていた。でも、ソフビ人形はゴジラシリーズのが好きだった。キングギドラメカゴジラとかさ、やっぱ男の子にはたまらないものありますよね。『ウルトラセブン』のハードSFっぷりはいつ観ても面白い。全話一気に観直したいのだけど50話近くあるので、なかなか時間が作れない。小さい頃に繰り返し観ていたのは『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』でした。仮面ライダーシリーズは『仮面ライダーBLACK』『仮面ライダーBLACK RX』が直撃世代で、『仮面ライダー』『仮面ライダーV3』はビデオで良く観てました。
仮面ライダーBLACK VOL.1 [DVD]

仮面ライダーBLACK VOL.1 [DVD]

仮面ライダーBLACK』がとにかく大好きで、将来の夢はシャドームーンでした。DVD-BOX欲しい。



水曜日は翌日が祝日なので、友達に車を出してもらって遊んだ。車の中で3776と片想いのアルバムを聞きました。鎌田で赤身の肉のお店で食事し、水元公園パウワウを捕まえに。パウワウはかわいいので出現するとむちゃくちゃテンションが上がる。夜中の公園を歩き回り、何とか10匹捕獲してジュゴンに進化させました。朝5時過ぎにヘロヘロになって帰宅。学生時代の夏休みを思い出した。朝の光、特別な感じ。
youtu.be




木曜日。祝日界のル―キ―である山の日。身の置き所を初年度から木曜日に選ぶというのはなかなか期待の新人と言えるのでは。「明日仕事かぁ…でも1日行けば週末だ!」となるので、木曜休みのいぶし銀さ好きなのだ。10時くらいに起床。天気が良かったので、洗濯機を回す。最近ご無沙汰だったロイヤルホストでお昼ご飯を食べる。夏のカレーフェアは相変わらず抜群の出来栄え。
f:id:hiko1985:20160811132414j:plain
海老とココナッツのカレーを食べました。いくらなんでも値段が高すぎるけども、追加パクチ―なんてシステムも泣かせるではないか。お店を出た所にストップが密集していて、ルアーも常時3本刺さっており、じっとしているだけでポケモン入れ食いでした。野生のシャワーズが登場したのにはアドレナリン出たなぁ。この日、コイキングを無事100匹捕まえる事ができ、ギャラドスに進化できました。
f:id:hiko1985:20160816162040p:plain
「源 星野」と名づけようと思います。しかし、個体値やら技選別というのが難しくて把握できず。少し遠出して、八王子付近に昨年末オープンしたばかりのスーパー銭湯竜泉寺の湯」に行く。橋本駅から送迎バスに揺られて15分。その巨大な御姿にテンション上がりまくり。スーパー銭湯の最高傑作と誉れ高い施設ですが、確かに良い。浴場は広く、お風呂も種類豊富。流行りの炭酸泉を極めており、3種もご用意。サウナは広めかつ湿度高め。通常時でも汗ダクダクなのですが、1時間に1回の自動ロウリュウシステム(ハイテク!)で上段などは焼けるような暑さに。たまりません。熱々に火照った身体を締める水風呂は17℃。ありがたいです。薬品臭い水質ですけども、まぁそこは目をつむりましょう。特に素晴らしいのは外気浴コーナーの広さ。腰かけベンチが多く設置されています。ここで寝そべればもうすぐさまディープリラックス。ゲームコーナーなども充実していて、レストランも安くてほどほどに美味い。
f:id:hiko1985:20160811195511j:plain
胡麻と胡瓜とミョウガの冷やし蕎麦、ナイスでした。お客がむちゃ多くて騒がしい所以外はアンダー1000円の施設としては完璧なのでは。お近くにお住みの方、サウナ入門にオススメです。



金曜日。まっすぐ家に帰り、野球とMステ。欅坂46は平手ちゃん劇場。圧倒的ですが、ちょっと表情作り過ぎな気がしないでもない。現状は最後列の佐藤詩織さんと米谷奈々未さんが間もなく上がってくる事を信じています。久しぶりに出演していたORANGE RANGEが昔と変わらずかっこよくて素敵でした。パーティーチューンも好きですが、10枚目シングルの「ラヴ・パレード」とかのおセンチな感じもむちゃ好みでした。
youtu.be
YMATOとNAOTOが好き。ときにNAOTOががソロでThe Stone Rosesイアン・ブラウンと一緒にやってるのウケませんか。



土曜日。いい天気なので、起床して掃除と洗濯。お昼に冷やし中華を食べる。『東京』『愛と笑いの夜』などサニーデイ・サービスのアルバム何枚かを爆音で聞いてまどろむ。村上春樹の『ダンダンダンス』

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

をサクっと読み返し、『Dance To You』は傑作だ、というエントリーを書きました。
hiko1985.hatenablog.com
仕上げにFlying Machineの「Smile a Little Smile for Me」を何回も聞いた。
youtu.be
自転車で練馬、そこからバスで中野、中央線に吉祥寺へ。武蔵野公会堂で開催されたEMCの『エンジョイスーパーライブ』を楽しみました。詳しくはこちらを!
hiko1985.hatenablog.com
吉祥寺は珍しいポケモンにいっぱい会えそうでした。やる時間がほとんどなかったのが悔やまれる。夏もお待ちかね「ブラジル1000」シリーズですが、今年はこの2枚から始めました。
タンバ・トリオ(期間生産限定盤)

タンバ・トリオ(期間生産限定盤)

ケン・ミ・レヴァラ・ソウ・エウ(期間生産限定盤)

ケン・ミ・レヴァラ・ソウ・エウ(期間生産限定盤)

Tamba TrioのセカンドとDominguinhosの1980年盤。エレピとアコーディオンですね。帰宅して『NOGIBINGO』シーズン1を全部観終える。



突然、何の脈絡もなく千原ジュニアみたいな事を言い出して大変申し訳ないんですけど、人前で鼻くそほじるのはNGなのに、鼻をかむのがOKなのよくわからなくないですか?考えられへん、くないですか?鼻すするのも結構すごい音するじゃないすか。あれが人前で平気ならウンコもできるだろ、と思いますね。いや、されてもやなんですけどね、ウンコ。国によってはしっかりとマナー違反と決められていたりするのだろうか。夏休みの自由研究はこのテーマに決まりだね!後、千原ジュニアはあんなにも色々な事が考えらへんなら、感じればいいと思います。



日曜日。お昼に練馬の「ケララバワン」でビリヤニを食べる。
f:id:hiko1985:20160814123515j:plain
チキンビリヤニとドーサが両方食べられるセットがランチにはあって最高。あぁ、美味しい。隣の席で食事していた大麻吸ってそうなお兄ちゃんが「インド料理たくさん食ってきたけど、ここが1番美味いわ」とつぶやいていました。そんなのもう絶対信頼できるじゃないですか、カレー、レゲエ、ガンジャ三種の神器じゃないですか(偏見)。



帰宅して甲子園観戦。東邦(愛知)VS光星(青森)の終盤に7点差をひっくり返すミラクルに鳥肌。東邦の主将で主砲のエース藤嶋くんは完全に甲子園のスターだ。どんなに苦境に立とうとも笑顔を崩さず、そのオーラで周りの雰囲気をコントロールしていた。プロには打者として入団して欲しいな。後ですね、東邦はマネージャーがかわいすぎる。あれはずるい。続いての、今年度最大の注目カードである履正社(大阪)VS横浜(神奈川)は、横浜のエース出し惜しみと、雷雨での度重なる試合中断で、いまいち不完全燃焼。とは言え、寺嶋くんも藤平くんも素晴らしいピッチングでした。2人とも間違いなくドラフト1位指名されるでしょう。打たれはしたけども、横浜のサウスポー石川くんも好きなピッチャーだった。下位か育成でヤクルトに指名して欲しいです。スワローズは山田、川端、雄平、畠山という主力中の主力が抜ける苦しい中で、谷内、西田、西浦といった若手が躍動していて大変うれしい。4位目指してがんばれ!臨時キャプテンに就任して張り切っているバレンティンもかわいい。往年の成績は望めないようだけども、来年以降も残留して欲しい助っ人だ。戸田軍は負けまくってますが、廣岡がホームラン量産、渡邊の台頭など、ここにきて希望の匂いがまた強まって参りました(野手に限る)。

1.渡邊(二)
2.山崎(中)
3.ジェフン(右)
4.廣岡(遊)
5.原泉(一)
6.松井淳(左)
7.奥村(三)
8.山川(捕)

このあたりで固定して欲しい。田中浩康、武内は後1年やったら引退でしょうか。森岡も好きな選手だけど、一軍では全く打てなくなってしまったので、今年でお別れの可能性高い。いつか覚醒してくれると信じていた荒木もそろそろやばい。スイングがもう打てる気配を感じない。



ロロ三浦直之の作・演出の元にいわき総合高等学校で上演された『魔法』を見損ねてしまった事を悔やみに悔やんでいます。1番いい所で江本祐介「ライトブルー」がかかったんですって!しかも振り付けは島田桃子さんだったんですって!無理してでても行くべきでした。後悔先に立たず。公演の感想ブログを読み漁って、少しでもその舞台を想像してみよう。夜は冷しゃぶときゅうりを食べました。ゴーストバスターズ、早く観て~。

サニーデイ・サービス『Dance To You』

f:id:hiko1985:20160813002431j:plain
サニーデイ・サービスのニューアルバムが僕の胸を震わせる。再結成後のサニーデイ・サービスの活動に1ミリの関心も抱いて来なかった事を後悔しなくちゃならない。勿論、グッドミュージックである事は否定しないが、魂に訴求してくるようなものはこのバンドから再び生まれ得ないだろうと高を括っていた。誤解しない欲しいのだが、サニーデイ・サービスほど青春期の私に強い影響を及ぼしたバンドはいない。彼らが掲載されている雑誌のバックナンバーを古本屋で買い漁り、そこで言及されている古今東西ポップカルチャー(純文学からポルノ映画まで)を夢中になって吸収し続けたものだ。それらをシームレスに編み込み、ある1つの決定的なグルーヴを生み出すサニーデイの姿勢(そして、それらはceroなどのバンドに引き継がれている)は、今でもこのブログを続けていく上での1つの指針だ。本当に憂鬱な時間に耳を傾けるのは小沢健二ではなくサニーデイ・サービスだったな。受験直前の予備校の合宿で聞いた『若者たち』が未だに忘れられない。カビくさい二段ベッドの下でCDウォークマンから流れる「いつもだれかに」にどれほど心を救われたことか。再結成後のライブには一度だけ足を運んだが、フレッシュさのかけらもない新曲に戸惑った。決定的に心が離れてしまったのは2013年にリリースされた『サニーデイ・サービス BEST 1995-2000』のそのアートワークだろう。もう言葉で説明するのもウンザリする。とにもかくにも「こんなものが俺の好きだったサニーデイなのか」と心底絶望したものです。といったような自分語りはほどほどに、時間軸を無理矢理に現在に戻すのであれば、話題は『Dance To You』のジャケットの素晴らしさだ。黒光りした男の身体、そこから零れ落ちるだろうギトつく汗はソウルそのもの。そして、その身体以上に深く黒い”影”がブルーを染める。永井博によるイラストレーションの得体の知れないフィーリングには、アートとはこういうものだろう、とひとりごちてしまう。


甘く切ないメロウネスとどこかストレンジな質感が同居したエッジの効いたダンスミュージック。いや、別に呼び方は”ロックンロール”でも”ポップス”でも何でもいいような気がするな。山下達郎の音楽から得られる、魂の解放といったような胡散臭い言葉でしか表現し得ない何かが、このアルバムには蠢いている。山下達郎が屈指の凄腕ミュージシャンと共に成し遂げてきたその達成を、実にカジュアルなディスコビートとギターカッティング(ギタープレイヤーとしての曽我部の魅力を再発見するアルバムもである)でもって鳴らしてしまった。その精神面への負担は想像だにできまい。およそ50曲をボツにしたというバンド史上最長の制作期間、事務所運営の危機、体調不良によるメンバーの離脱といったハードなエピソードの数々は、(見事なプロモーション戦略、とは思いつつも)この『Dance To You』という傑作への入口としてあまりにも豊かなので一読をオススメする。良くも悪くもサニーデイ・サービスらしさそのものであった丸山晴茂のドラムを失った事で曽我部がリズムのイニシアチブをとる。それが今作の鍵だ。自らがドラムを叩き、プログラミングを行ったというその軽薄なビート。Mikikiに掲載された田中亮太氏による素晴らしく芳醇なインタビュー
mikiki.tokyo.jp
によれば、再評価の波で盛り上がっている往年のディスコバンドChicからインスピレーションを得たという。


ダンダンダンス。

音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。


村上春樹ダンダンダンス』

この羊男の言葉は全てのダンスミュージックの根幹を見事に言い現わしてしているように思える。音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けること、それだけがこの”喪失”を繰り返すクソったれの世界をサヴァイブする方法なのだ。そして、村上春樹の物語に倣うのであれば、私たちの暮らすこの世界のすぐ側には、”もう1つの世界”というのが存在する。それはかつてサニーデイが”MUGEN 夢幻”と名付けた場所と同意かもしれない。『Dance To you』の楽曲の登場人物達は、あらゆる繫がりを失い、混乱し、気がつけば、その”もう1つの世界”に彷徨い込んでしまっている。

ねぇ、ここは何て名前の街だっけ?


パンチドランク・ラブソング」

見たこともないこんな街で知らないだれかを探してる


「苺畑でつかまえて」

村上春樹が描く”もう1つの世界”というのが、禍々しくもどこか哀しく、甘美さすら湛えているのは、それらが喪失によって形成された世界であるからだ。『Dance To You』の音像がたえずゴ―ストリーな響きを携えているのはそのせいかもしれない。喪失は、頻出する”桜”のイメージと結ばれる。

花吹雪舞い散る世界


「苺畑でつかまえて」

夕暮れの街切り取ってピンクの呪文かける魔女たちの季節


「セツナ」

桜 花びら舞い散れ あのひと連れてこい


「桜 super love」

ここでいう“桜”とは、サニーデイ・サービスの2ndアルバム『東京』がリリースされたちょうど20年前のこの街の空気、いや過ぎ去った20年間に他なるまい。
f:id:hiko1985:20160813002504j:plain
”もう1つの世界”では今は失ってしまったはずの多くのものが煌めき、こちらを見つめている。そこはとても心地のいい場所だろう。しかし、踏み止まってはいけない。足ごと絡め取られる事になる。僕らを悲しみを抱えながらも、ステップを刻み続けなくてはならないのだ。ただ、そのもう1つの甘く切ない世界は、日々のすぐ近くに存在する、という事だけは覚えておくといいだろう。

君がいないことは 君がいることだなぁ


「桜 super love」

この一見ありふれたレトリックでできたフレーズは、貴方がこの失い続ける現実世界で、懸命にステップを踏む時に、とびきりの効力を持って響いてくるに違いない。『東京』の6曲目に針を落としてみる。

憶えてない夢のせいで心が
何メートルか沈み込むんだ
熱い濃いコーヒーを飲みたいんだ
そっちはどうだい うまくやってるかい
こっちはこうさ どうにもならんよ
今んとこはまあ そんな感じなんだ



「青春狂走曲」

まったく、サニーデイ・サービスの音楽はまるで過去と未来を往復する手紙のようだなぁ、なんて事を想うのだ。

Enjoy Music Club『エンジョイスーパーライブ』in 武蔵野公会堂

f:id:hiko1985:20160727005742j:plain
エンジョイミュージッククラブと名乗るのは伊達じゃない。「楽しんでもらおう」というホスピタリティ精神に溢れたイベントでした。まずもって、武蔵野公会堂で土曜日の17時スタート、というセッティングがどうにも琴線をノックアウトするではありませんか。長丁場だけども、着席なので安心、しかも会場の出入りは自由(飲酒は禁止なのもミソ)。21時前には終演なので、その気になれば、ライブ後に『シン・ゴジラ』だって観に行けるのだ。出演者は『FOREVER』にも参加していた方々で、中にはザ・なつやすみバンド、Homecomingsの名も連なっている。もうそんなの絶対行くよ、って感じだ。どの出演者もリラックスしたいい演奏を聞かせてくれた。とりわけHomecomingsのバンドのアンサンブルの進化には感激。リズム隊2人のコーラスワークの素晴らしさよ。バンドの核はつまるところあのコーラスだよなぁ。思い出野郎Aチームの「週末はソウルバンド」やザ・なつやすみバンド+EMC「ナイトランデブー」(mantaschoolのラップ!!)もグッとくるものがあった。余興で登場した花原史樹の渾身の「Baby Baby」の弾き語りは思わず胸を打ったし、ハイハワ原田君のおふざけもご愛嬌。「聞いてください、狩人で”あずさ2号”」と言ってゆずの「夏色」歌い出すギャグ、難しすぎます。


紅白歌合戦』や『ポップジャム』を意識したというしかもこの日のステージには何と司会者が設けられていて、ラバーガールの飛永翼と谷口奈津子(漫画家)がドレスアップして登場。何たるスペシャル感。飛永さんのウィットに富んだスムースな司会進行には美しさのようなものすら漂っていたな。EMCの人脈えげつない、と震えてしまうわけですが、この日のステージを観れば納得。メンバー3人から"愛さずにはいられない"といったヴァイブスが溢れているではありませんか。そして、大きな音で聞く事で改めて、音楽そのものの素晴らしさに思いを馳せた。「EMC?ハイプでしょ」みたいな人は少なからずいると思うのですが(正直、わたしも最初はそうでした)、耳の穴をかっぽじるべき。大胆過ぎるサンプリングセンスに着目しがちだが、フック部分のE(江本祐介)の歌メロの異様な高揚感、これは全ポップミュージックラヴァーが泣いて喜ぶような代物だ。「あれ、こんないいメロディ、今まで存在しなかったんだっけ?」と唸ります。例えば、筒美京平だとか多羅尾伴内といった大物と肩を並べても遜色のないメロディメイカ―ぶりなのです。全てのトラック制作まで兼ねる彼は、更にとびきりに秀でたボーカリストでもある。歌い出しと共に会場の空気を一発で掴んでしまう特別な響きを秘めています。なんでしょうね、あの声は。誰もが持ち合わせていた”少年期”みたいなものがギュウっと閉じ込められているような。ここまでの才能を持ったミュージシャンが、よくも今まで大々的に発見されずにきたものだ、と驚きを禁じえません。「また大袈裟な…」と思うのであれば、とりあえず『ライトブルー』をマストチェックでお願い致します。ラストに披露された「よろしくね」の往年のSMAP節に涙を浮かべたりして、ライブ終了。新作EP『SUMMER MAGIC』を即効でゲットして、ホクホク顔で帰路に着きました。そういえば、帰り道に会場近くでカメックスに遭遇したんですが、熱戦むなしく逃げられました。それだけがちょっと残念です。




関連エントリー
hiko1985.hatenablog.com
hiko1985.hatenablog.com
hiko1985.hatenablog.com
hiko1985.hatenablog.com

『極楽とんぼのテレビ不適合者 下巻~あまりにも過激すぎて放送中止になったドキュメント編~』

f:id:hiko1985:20160808174044j:plain
極楽とんぼ山本圭壱が10年ぶりにその姿をテレビに現した。彼の不祥事に関しては真相を掴みかねる為にどうにも言及しようがないのだけども、世代的にはめちゃイケど真ん中ですので、久しぶりに見聞きするその姿や声色は単純に涙腺にくるものがあった。中学受験を控えており『ダウンタウンのごっつええ感じ』も『とんねるずのみなさんのおかげです』も観させてもらえない日々でしたが、どうか『めちゃ×2イケてるッ!』だけは、と頭を下げて息抜きとしていた当時の私にとって、岡村隆史山本圭壱がお笑いのツートップであった事実は揺るがない。加藤浩次極楽とんぼというコンビへの執着や、田村敦(ロンドンブーツ1号2号)らの山本への恩義は、理解を超えてくる得体の知れなさがあり、胸を揺さぶってきた。しかし、最も興味深かったのは、彼らの妙に芝居がかった”演技”としか呼びようのない台詞回しが画面上で展開されていくそのスリリング。いや、勿論あそこに脚本などは存在しないのだろうけども、人は日々”何か”を演じて生きているわけで、この日の『めちゃ×2イケてるッ!』のリアルとフェイクが揺らぎ混ざり合っていく演出と合いまり、何とも言えぬ質感を醸し出していた。

極楽とんぼのテレビ不適合者 DVD-BOX

極楽とんぼのテレビ不適合者 DVD-BOX

極楽とんぼが2004年にリリースした『極楽とんぼのテレビ不適合者 下巻~あまりにも過激すぎて放送中止になったドキュメント編~』を想い出した人も少なくないのではないだろうか。極楽とんぼとマッコイ斎藤がコンビを組み、民放の放送コードにひっかかった企画を上下巻を通してやりたい放題詰め込んだDVD作品。中でもカルト的な人気を誇ったのが、下巻のドキュメント編だ。翌年の廃校が決定している荒れ果てた不良高校の1クラスに180日間(秋口から春まで、と『3年B組金八先生』の時系列に倣っているのがにくい)密着し、その卒業までを追ったドキュメンタリー。不登校、進路、校内暴力、薬物、売春といったクラスに巻き起こる様々な問題に、担任教師と極楽とんぼが立ち向かっていく様が収められている。しかし、カメラは徐々に、生徒たちよりもその担任教師にフォーカスされていき、人間の“業”のようなものが生々しく映し出されていく・・・・これが滅法に面白いのだ。先日、久しぶりに再見したが、改めて傑作との想いを強くした。声を出して笑っていたと思いきや、あまりの恐ろしさに肝を冷やす。笑いと恐怖の綱渡り。この作品が再び灯の目を見る絶好のチャンスが今だろう。しかし、初見に関しては事前情報なしに鑑賞したほうが何倍も面白いであろうからして、ここから先はぜひ鑑賞後にお読み頂きたい。



「それでもドキュメンタリーは嘘をつく」というのは佐村川内守を題材にした映画『FAKE』(2016)が話題の森達也の言葉であるが、更にそのメソッドを複雑化させた「フェイクドキュメンタリー」というジャンルがある。ここ数年でも山下敦弘松江哲明らによる『超能力研究部の3人』(2014)や『山田孝之東京都北区赤羽』(2015)や『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』(2016)といった作品が話題や賞をかっさらっている。しかし、一方で山下敦弘の初期の傑作ドキュメンタリー作品を目にしたものにはこれらに生ぬるさも覚えるのも事実。それほどに『その男、狂棒に突き』(2003)や『不詳の人/道』(2004)といった作品に迸るドライブ感は強烈であった。

不詳の人 [DVD]

不詳の人 [DVD]

極楽とんぼのテレビ不適合者 下巻~あまりにも過激すぎて放送中止になったドキュメント編~』もまた、それらの山下作品に同時多発的に共鳴を発したエッジの効きまくった傑作なのである。余談だが、特典映像のメイキングでは会議において加藤やマッコイらが森達也オウム真理教を題材としたドキュメンタリー映画『A』(1998)
A [DVD]

A [DVD]

を鑑賞している様子が納められている。



民放のドキュメンタリー番組の質感を見事にトレースし、生徒達を含め登場人物の演技演出も実に自然体。これだけで構成されていれば、今作がフェイクドキュメンタリーであると疑う者はいないだろう。しかし、今作の主人公とも言える担任教師”曽我先生”という男が圧倒的に異質な存在であり、観る者に嘘を現実と信じ込ませる必要のあるフェイクドキュメンタリーにおいてはネックであるようにすら思える。しかし、不思議な事にそのあまりのうさんくささが突き詰められていくあまり、彼の人間としての醜さがリアルに反転していく。これは山下作品における山本剛史演じるキャラクターの手法と同様だ。日常に潜むサイコキラーとしてのキャラクター造詣は完璧の一言。脚本を担当した加藤浩次、そして演出のマッコイ斎藤のその手腕には感嘆を覚えることしきりだ。観る者は「え、これ本当なの?作りモノなの?」という疑問に揺らぎ続けながら、ラストの卒業式において曽我先生が繰り出すカタルシスに茫然とさせられる事だろう。人間の心理を弄ぶ、このシニカルでアナーキーな痛快作をぜひとも再び灯の目を浴びて欲しいものだ。そして、やはり全てを把握した上で翻弄されるという繊細な演技をこなしていく、演じ手としての極楽とんぼもやはり素晴らしいものがあり、芸人として脂の乗り切ったこの時期からの10年が失われた事はあまりに大きな損失であったと痛感させられた。

インド料理”ビリヤニ”の衝撃

f:id:hiko1985:20160807145513j:plain
この夏、サウナとポケモンと並び私の心を占領しているのが”ビリヤニ”である。ビリヤニ、何とも愛嬌のある響きだが、これまで耳馴染みのない言葉だった。きっかけは愛読しているはてなブロガ―U次郎さんの日記でした。何やらビリヤニというのは主にインド周辺の国で食べれているお米の炊き込み料理のことらしい。誰が決めたのやら「世界三大炊き込みご飯」に松茸ご飯、パエリアと共に選ばれている。これが美味い、とにかく美味い。おそらくイメージとして最も近いのは、惜しくも「世界三大炊き込みご飯」から漏れてしまったピラフだろうか。でも、全然違う。ビリヤニは、お米とグレービー(カレー)ソースを交互に層状にして煮込んで作る。「カレーと層状にして煮込む」のです。あぁもうこの字面だけで美味そうではありませんか!お店によって異なるのだろうけども、ニンニク、タマネギ、ショウガにナツメグ、クミン、ローリエ、シナモン、コリアンダー、ミント、ギー、メース、カルダモンなど、中には聞き慣れないようなスパイスが多数使用され、一見は単純な炊き込み料理でありながら、実に複雑な味覚のハーモニーを展開する。スパイスの魅せる旨味というのは、出汁文化にどっぷりであった私のような人間にとって、新たな扉をこじ開けられるような体験だ。ビリヤニを夢中で頬張りながら「世の中にこんな旨味が存在したのか」と唸っているのであります。私の中に蠢いていたチャーハン欲は、現在全てビリヤニに注がれている。



インド料理屋に行くと「基本のチキンカレーは食べたいし、いやいやサグカレーも食べたい・・・」といった風にカレーの事で頭が一杯になってしまうわけですが、そこを少しの冷静さと勇気でもってメニューの隅々まで目をこらしてみれば、確かに”ビリヤニ”の項目が存在する事を発見できるだろう。コマ目に調理できない事、炊き込み技術の難易度、などがネックとなり、日本でビリヤニを取り扱っているインド料理はまだ少ない、と書かれたネット上の文献を見かけた。確かに事前予約が必要な店も多いようだが、ここ数年で隠れたブームが訪れているようで、取扱店は増えている印象。しかし、ビリヤニという料理は本場インドでも定義が曖昧のようで、当然日本で出されるビリヤニにもそのクオリティのばらつきは大きい。例えば、私のビリヤニデビューであるこちら。
f:id:hiko1985:20160729211346j:plain
長粒種のお米ではあるようなのだけども、粘り気が強く、米というよりは茹でた麺のよう。味は単調で、すぐに飽きがくる(にも関わらず量は異様に多い)。もしかしたら一切炒めずに炊いただけの本格式なのかもしれないのだけども、どうにも私の口に合わなかった。ビリヤニ道への入口で躓き、心が折れかけたのだが、何とか再びファイティングポーズを掲げた。次に挑戦したのは近所にあるインドカレー屋。何度も訪れながら、今まで気にした事もなかったが、ここにもビリヤニはメニューに存在していた。カレーは文句なしに美味い店なのだが、ここのビリヤニはこちら。
f:id:hiko1985:20160802205256j:plain
美味しい事は美味しいのだけども、”これじゃない”感が凄い。そもそもこれは日本米では。粘度が強く、味もチキンライスのよう。あまりに日本人の口に寄せられ過ぎても醒めてしまう。難しい食べ物だ。そして、3軒目にしてやっと出会えたのがこちらのビリヤニ
f:id:hiko1985:20160806213303j:plain
ケララバワン」のチキンビリヤニだ。漫画家・流水凛子の旦那さんが経営している練馬の人気店。いやはや、衝撃を受けてしまった。口に運ぶ度に広がる風味、旨味。「これがビリヤニか!」と虚空に向かって叫んだ。アクセントのパクチーが舌にも目にもうれしい。カレー以外のインド料理が大変充実していて、ドーサにパパドゥ、どれを食べても最高に美味い。
f:id:hiko1985:20160806212903j:plain
あまりに美味さに翌日のランチにもこの店に訪れてしまった。ビリヤニのスパイスにはそんな中毒性もあるのかもしれない。二日目はこの店の名物であるらしいシーフードビリヤニを注文*1。エビ、カニ、ホタテなどの魚介の濃縮された旨味をスパイスが更に引き立てる。舌は喜びの舞を踊り、脳内に快楽物質が飛び散る。あぁ、美味しい。おそるべし、ビリヤニ。まだ一合目に辿り着いたばかりのビリヤニ道、その奥深さに今から震えが止まりません。インド料理屋に行ってカレーを頼まない、という行為のなんと甘美なことか。みんな食おうぜ、ビリヤニ

*1:トップにある写真がそれです